不幸美人はどMです 1

この世の中には、SとMしかないのだとか…。


言わずと知れたサドマゾのことなのだが、不幸美人の大半はどMだ。


何も性癖のことだけを言っているわけではない。私が言いたいのは、精神面のことだ。


「もう顔にはこだわらない。さんざん痛い目みてきたしぃ、誠実で優しくて、何より私を一番大事にしてくれる人かなぁ」


辛酸を舐めまくった不幸美人は、大抵こんなことを言う。


なかなか謙虚である。


しかし、こんなことを言うわりには、毎度正反対の男を選んでしまうのが不幸美人の悲しい性だ。


つまり、不誠実で、調子がよく、浮気者の男。


不幸美人がこの世で忌み嫌うこの手の人種は、実は不幸美人の大好物でもあるのだ。


まさに、イヤよイヤよも好きのうちである。


しかし、不幸美人にだって、その手の男を選んでしまう理由はちゃんとあるのだ。


それは、「私なら彼を変えられるだろう」という根拠のない自信のせいである。

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