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あんなに押せ押せで優しかった男の態度が気がつけば、なんだか冷たい。


誘いも、連絡の頻度もぐっと減ったし、おまけにホテル代も出し渋るようになった気が…。


そうなると、普通は、「なんだ、ただの遊び人かぁ。悪い男にひっかかったなぁ」と冷めても良さそうなものの、なぜか、不幸美人の闘争心はメラメラと燃え始めるのだ。


まさに、着火、ファイヤーである。


不幸美人は、つかみ所のない男ほど追いかけてしまう習性があるのだ。


しかも、そういう男のほとんどは、つかみ所のないというよりは、単なる遊び人で、あっちでフラフラこっちでヘラヘラ女の尻を追い回しているだけのつまらない男なのだが、不幸美人は、そんな男を見ると、私が変えてやらなければいけないという使命感に苛まされるのだ。


そう。


不幸美人には、フラヘラ男が愛を知らない子羊に見えてしまうのである。


だから、放ってはおけないのだ。


それで、ただの女たらしに、真実の愛を説こうとする。


だがしかし、それは、馬の耳に念仏を唱えるほうが、まだ易しいというものだ。

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