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聖母マリアと化した不幸美人の忍耐力と寛大さときたら、時にマザー・テレサすら上回るほど。


男からいつ誘いが来てもいいように、己の予定は空白にし、いつでも出陣できるように、メイクもヘアスタイルもばっちり決めているのだ。


もしかしたら会えるかもしれない、いつ終わるとも知れぬ男の飲み会に迎えに行けるように。


そのためだけに、風呂上がり、再びメイクをし、髪の毛をブローする不幸美人の努力虚しく、朝まで連絡がつかないことなどざらなのだが、不幸美人はめげない。


飲み過ぎたであろう男の体を気遣うメールを一本いれ、寝不足でぼろぼろになった体を引きずって、仕事へ向かうのだ。


もちろん、そんなメールが届いた頃、男はまだ夢の中にいて、しかも、隣には裸の女が寝ていたりするのだけれど…。


不幸美人は、そこには触れず、いい女を演じようとする。


内心、だんじり祭とねぶた祭りが同時開催されたような大騒ぎになっていても、ぐっとこらえ、次に会うときは聖母の微笑を浮かべるのだ。


不幸美人は許しの天才であり、それは、時に、神の域にすら達している。


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