人の心は複雑で、それが恋愛なのか親愛なのか慈愛なのか……ヒロインの告解をの話なわけですが、(その善し悪しはともかく)ヒロインはある意味ずっと気持ちがぶれておらず、他方、受け手の神父の心理は、時間が経つごとに戸惑いを隠しきれなくなっていきます。凄まじい読後感の短編でした。結末を知った上でもう一度読み返すと、また別の味わいがあると思います。
登場人物の心理の葛藤が上手く描かれていて引き込まれます。道ならぬ恋に落ち、その悩みを神父に告白する娘の葛藤もですが、その一方で聞く側の神父の心理もある意味滑稽ですらある感じで、どうなるのか、どういう選択をするのか、先の展開を気にしながら読みました。そして、ラストにやられた。いやー、素晴らしいキレでした。
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