老の坂

作者 藍川 陸里

64

27人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★ Very Good!!

謎について考えることは、その謎を作った人について考えることだと思います。

誰がそれを行ったのかを推理するのは難しくありませんが、全体を通して優しい雰囲気で物語が描かれていて、ラストは少し切なくなりました。

故郷を歩く、過去について旧友と話しながら推理する、という構図が上手く活きていて、登場人物たちに思いを馳せながら読んでしまいました。

★★ Very Good!!

過ぎ去ったあの日を振り返り、そして今の自分を省みる。
主人公の心情に深い共感を覚えます。
切なさ、儚さを胸に淡々と今を生きる。
ある程度年をとった読者の方が胸に来るかもしれません。

ただ、ミステリーとしては謎も、その解も精密さに欠け
また、驚きもそれほど無いように思います。

Good!

梓崎優氏の某短編に影響を受けたと思われる部分が散見されましたが、肝となる部分では上手く自分の領域に持ち込まれていたので、本歌取りではなく換骨奪胎なのかなと感じました。
ストーリーと文体がマッチしていて、大変読みやすかったです。

★★★ Excellent!!!

私は、ミステリーは普段あまり読まないのですが、この作品は文句無しに良作だと思います。
20年前の卒業式に起きた奇妙な事件、それを巡る謎と青春の爽やかな雰囲気が、美しく、そして、懐かしげに表現されています。
ラストは、幻想的でありながら、切なく、読み終えた後の読後感も素晴らしい。

★★★ Excellent!!!

ミステリーだけでなく、青春小説としての側面もあるように思いました。
静謐な文章で語られる『思い出』は切なく、同時に心を温めてくれます。

戻ることのない時間。
老いて行くばかりの私たちに突きつけられる現実と、褪せる事のない記憶。

それらが、卒業、桜、夕日という舞台にぴったりで、読了後には目頭が熱くなりました。

素敵な時間をありがとうございます!

★★★ Excellent!!!

新旧問わず日本一の短編ミステリーの名手は誰かと問われると、自分は迷わず連城三紀彦さんの名を挙げます。

純文学を踏襲した美しい文体、トリッキーなサプライズ、計算され尽くした構成、そして男女の悲哀と人間模様を描く恋愛小説としての結末。どれをとっても珠玉の一級品。ファンはそれを敬意を込めて「連城マジック」と呼ぶのです。本著はまさにそんな連城さんの短編小説を彷彿とさせる満足感を与えてくれました。

高校生のころに通った坂を二十年ぶりに歩く主人公が、偶然に幼馴染だった女性と遭遇。二人はノスタルジックな感傷に浸りながら、過去に発生した事件を推理する。よくある物理トリックの謎解き話かと思いきや、まさかあんなサプライズが仕掛けられていたとは驚愕です。そこに待ち構えていたのは、切なくも儚い真相。これはもう連城マジックの再来と称しても過言ではないかもしれません。

短編ミステリーが群雄割拠するカクヨムランキングにおいて、こういった良質の作品が正当に評価され、長く読者に愛されることを切に願います。

★★ Very Good!!

……なんと表現すればいいのか。
この胸が締め付けられるような読後感は、ちょっと僕の陳腐な言葉では表せない。
物語は、主人公が久しぶりに会った同級生と、昔見た「幽霊」の正体を回想を交えながら推理していく、というものです。
ミステリ的な仕掛けに騙されることは残念ながらなかったのですが、最後まで読み終えた後、もうそんなことはどうでもよくなっている自分がいました。(笑)
描写が巧く、京都の風景が目に浮かぶようでした。淡々とした文章でありながら、終盤の主人公の言葉一つ一つが、心に響きます。
ミステリーが好きな人もそうじゃない人も、読んでない人はぜひ読んでください。
きっと、胸が締め付けられますよ。

★★★ Excellent!!!

二十年の月日は、変わるモノもあれば変わらないモノもある。生きる上でどちらが大事か? それは、どちらも大事である。

ミステリーでありながら何か大事な事を再認識出来たような物語でした。

読了後にはとても心が温まります。
ぜひご一読を!!

★★ Very Good!!

犯人やトリックの謎解きは容易だが、そんなことより全体の構成が素晴らしい。

最後まで一気に読ませる文体には目を瞠るものがある。ただ、段落の始め、改行の一字下げが行われていない箇所があるのが少し気になる。

然し、ストーリーそのものは疑いもなく秀逸な作品である。

★★★ Excellent!!!

伏線も分かりやすく、ミステリーとしてはちょっと初心者向けかな、ふふふ。
そう思いながら読んでいたときが、私にもありました。

犯人が明らかになったそのあと、もう一つの隠された謎が浮かび上がってきます。
その真相の切なさに、鳥肌間違いなしです。

文章や文体、物語の構成が全体的に米澤穂信さんっぽい雰囲気でした。
私、気になります! という方は、ぜひ読んでみてください。

★★ Very Good!!

完成度の高い短編です。少し切ない青春もの。

記憶をたどり、肝試しの最中に出会った不可思議な幽霊の正体を解き明かす物語。最後まで読むともう一度冒頭を読み返したくなりますね。

本当に少年たちは幽霊に出会えたのか、最後まで読んで、その目で確かめてくださると幸いです。

★★★ Excellent!!!

切なすぎる叙情的な文章が涙せずに居られない、非常に技術力の高い小説です。

卒業式の夜にみんなで行なった、遠足という名の肝試し。
そこで遭遇した生首の怪異を、論理的に解き明かすのですが、これがまた甘酸っぱい青春の思い出とあいまって、胸に来るものがありました。

1話に2万文字ありますが、すんなり読めてしまいます。当時の出来事と現在を交互に書くことで緩急を付け、何より肝試しの様子がスリルに満ちており、あっという間でした。

京都の地理にも長けていて、酒呑童子の首塚など衒学面もバッチリ。
確かな知識に基づいて執筆されているため破綻がなく、真相に至るヒントも無駄がありませんでした。

何よりも、最後に。
幽霊なんて居るわけないじゃない、と彼女は呟いたけれど。

確かにあなたはそこに居て、微笑みかけていたのですね。

誰もが老いて行く、その坂で。