よき思考実験であった

 こんな世界死んでも住みたくないなあ、と俗っぽいことを漏らしつつ。

 よい思考実験でした。
 SFにはあまり明るくない俺であるが、「社会vs自己」というありふれたテーマを、前提を弄りながら展開していくのがSFの醍醐味のひとつなのだろうなあと思った。
 社会が幾ら自分には合わない"呪い"のようなものであるとはいえ、生きていく以上は何らかの形で融合しなければならない。大変難儀なことです。
 特によかったのは、自殺の理由が腑に落ちるものとしてきちんと機能してるところかな。ああ、まあ、そりゃあねえ……と。
 案外、これを単純な娯楽としてでなく、読みながら自分の社会へのスタンスを考え直したりする人もいるんじゃなかろうか。ともあれ自信を持って人にオススメできる小説でした。

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