それは、運命か、それとも使命か

 貧民として産まれたのも。
 奪わなければ生きられなかったのも。
 殺す術を覚えたのも。

 ――ひとつのパンに、救われたのも――

 それは、ある意味、逃れられぬ運命であり、避けようのない人生。

 そして、奇妙な依頼と再会、転機。

 ただ、抗うことも出来ず、流れるような人生の中で、運ばれていく命から、その命の価値を知り、己が使い方を示す。
 それこそが、使命と呼ぶに相応しい生き方ではないか。

 交差する光と影の、背中合わせの人生を歩む両者の間に、しっかりと結ばれた絆の物語。
 まさか、その二つを結ぶのが、ただひとつのパン、だとは。

 片腕を失った?

 ……いいや、もっと大事な何かを、得たのだ。

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