第13話 影は光 愛洲移香斎明国刀法伝授記(アキラ)/推薦者:梧桐彰
時代小説。
剣聖上泉信綱の師匠とも言われる影流の流祖愛洲久忠が、明代の中国へ日本刀を売りに行く一行に加わり、剣術を伝えるというのが大まかなストーリーです。
カクヨムでは間違いなくマイベストの作品です。主人公の移香斎(作中では太郎左衛門)は物静かで強くて硬骨漢という昔ながらの日本人ですが、それだけではなく、読めば読むほど、彼が夢を伝えてくれる主人公であるとわかってきます。
彼は応仁の乱という京都を叩きのめした戦乱の世界から、明という新しい国で仲間と一緒に情熱を傾け、剣を通じて日本と明国の橋を渡すために奔走します。名を上げるの金を儲けるのというケチな望みではなく、民族の違いを乗り越えて人の心を立派に育て上げようという、大きな志に支えられて動きます。
この人物自体は藤沢周平などにも扱われている剣術では著名な人物です。ですが、ここまで夢を感じさせてくれた移香斎はこの作品だけでした。
大きな志を持つ移香斎は、さらに筆者の読みやすい文体と迫力ある剣術により終盤に行くほど輝きを増していきます。多民族による文化の交流や対立なども散りばめられ、このサイトの作品の中では長い方ながらあまり分量を感じさせない、引き込みの巧さもあります。恋愛要素や経済に関する部分もあり、隙の無い構成と取材が光っています。
こういう作品を読みたいし書きたいものです。これを読めただけでもカクヨムに登録した甲斐がありました。
傑作です。是非多くの方に読んでいただきたいと思います。
■作品URL https://kakuyomu.jp/works/1177354054880499077
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うわ、何だこれ……というのが第一印象。
もちろん、褒め言葉です。
私、この作品を知りませんでした。
推薦をいただいて、読んでみました。
すごいです。ホントにすごいです。
作者がコトバを自在に操って、
ひとつの小説世界が見事に展開しています。
時代背景、人物、剣術、夢、志……
どれもが目に浮かぶように描かれてもいます。
名作がいくつも埋もれてるカクヨムですが、
この作品もまさにそれですね。
素晴らしい作品をご紹介いただいて、ありがとうございました。
(真野絡繰)
〔ヨム人=アナタ〕が選んだ★★★★作品を読みたい! 真野絡繰 @Mano_Karakuri
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