第12話 フクシマに積もる雪(黒井羊太)/推薦者:杉浦遊季

 これはとても悲しい話であり、同時に心にグサッとくるメッセージ性があります。


 物語は一人の女の子について語られますが、その女の子があまりにも不憫過ぎて心を痛めます。しかしその原因は全て世間の偏見によるもの。ある意味ではこの作品は「偏見」や「風評」をテーマにしているのではないかと思えます。


 未曾有の震災をうけた福島ですが、当時も今も各所で取り上げられています。しかしそれらの行為が現地の方を苦しめる要因になっていると気づくことができる人は少数です。私も本作を読むまでこのような考えに至ることができませんでした。現地の情報を伝えるのはもちろん大事なことですが、それによって傷つく方がいるということを認識する切っ掛けとなる作品でした。


 今年に入ってから熊本で大きな地震があり、最近では北海道でも地震がありました。震災の多い日本ですが、日本人だからこそ今一度震災の報道について考えるべきなのではと思いました。


 レビューにも書きましたが、この作品は是非とも多くの方に読んでもらいたいです。


 ■作品URL https://kakuyomu.jp/works/1177354054880590551


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 3月11日のことは、私も忘れられません。

 東京にいましたが、震源地からはるかに離れているのに、

 長く大きな揺れが永遠のように続きました。

 揺れが鎮まりそうになるとまた激しく揺れて……

 ということが、何度も続きました。


 それから10日ほど経ち、私はとあるNPOに同行して

 現地の復旧活動をしました。

 行ってみてわかったことは、


 「被害に遭ったエリアが、途方もなく広い」


 ということでした。

 それまで、メディアの報道で目にしていた動画や画像には

 その「広さ」はとうてい映るはずもなかったのです。


 もしよかったら、皆さんも現地に行ってみてください。

 津波によって破壊された街が、どれほど壊滅的なことになっているか、

 その目で見てみれば実感できるからです。


 そして、風評被害。

 悲しい出来事が、たくさんありました。

 残念でなりません。


 ひとつだけ確信しているのは、

 「私は福島産のものを食べる」ということ。

 これは誰に批判されることもない、私の意思です。


 そして、推薦いただいたこの作品中の

 雪ちゃんたち家族のことも、忘れずにいようと思います。


 今も大変なことになっている熊本に思いを馳せつつ、

 この文章を東北の皆さんに捧げます。

 (真野絡繰)

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