読者から祝福される家族像

単純な巧さでは書けない読む人に「物語、ひいてはこの夫婦への親しみ」を与える文章。
そして、奥様の魅力が現実から小説の中に舞台を移しても光っている作品だと、思います。

読んでいて常々感じるのは奥様のヒロイン力の高さですね。
個人的に、それを一番感じたのは誕生日に関するエピソードでした。
奥様のヒロイン力はそんじょそこらのラノベヒロインでは太刀打ちできないでしょう。

また、時折感じるのは奥様の芯の強さや人柄の魅力が光る中、作者様の反応がかわいいなと感じてしまうことがありました。
最初にそれを感じたのは4話ですね。
付き合い出した頃のエピソードの一節、良いです。

また、9話には娘さんの優しさ溢れるエピソードが……。
家族史の一面もある良いエピソードです。

・まとめ的な・
登場する人の人物像がやはり一番の魅力でしょうか。
奥様の信念に感心したり、共感したりしながら、
作者様のキャラや文章に「親しみ」を覚える。
そんな楽しみ方ができました。

作者様の文章には、読んでいるうちに読者に親しみを抱かせるような、単純な巧さでは書けない『引き込む力』を感じました。
作者様は「感じたこと」を文章の中にアウトプットする力があるんだと思います。
「愛嬌のある文章」といってもいいのかもしれません。
そのおかげもあって、読みやすいです。

読みながら、心の底から祝福したくなる夫婦像。
それを旦那様の目線から描いた、奥様史、あるいは家族史といえるエッセイになっていると思います。

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