最後まで読んでとのレビュー文が多いので、どんな最後かと期待して読みました。確かにエピローグは賛否両論を招くでしょうね。私は、最終話止まりの方が締まった感じがすると思いました。
最終話までだと、ニヒルな捻りが見事に効いていると思います。読者が全く想像していなかった真相を準備している点には感服します。しかも、読み返すと、用心深い読者なら悟ってもおかしくない手掛りが、推理小説のように正々堂々と、でも気付かれないようにさり気なく書かれています。褒め言葉として書きますが、作者は人が悪い。
重箱の隅の話をすると、聞き込みに来た刑事のあしらい方は秀逸です。ここだけ現実的と言うのも変ですが、賢い高校生が言いそうな現実味を感じました。私には、あんなアイデアを思い付けません。
一冊につき一つの特殊な力を持つ本、禁書。
その禁書が集まる禁書図書館に、ある日突然行ってしまう主人公葛城。
そこで、彼は禁書を選ぶとともに、戦いへの参加を言い渡される……。
漫画原作小説コンテスト応募作とのことで3万字の規定に合わせた短い作品となっていました。この文字数で、内容がここまでのボリュームの作品はなかなかないと思います。
また、最後の最後まで読ませていく文章力が憎い。召喚された精霊たちの可愛らしい様子や、それを愛でるヒロインの様子もほほえましい様子がポイントでしょうか。
ただ、ウンディーネとシルフの登場時間が長く、他の精霊の様子をあまり見れなかったのが、ちょっと悲しいポイントでした。
3万字の分量で、よくぞここまでの作品に仕上げたと感服いたしました。
異能力バトルもの。
クセのない文体と構成、そしてシンプルな設定により、すごく読みやすい作品となっています。これはそのまま漫画化されても違和感がなく、コミカライズを意識して執筆されたのが伝わってきました。コンテストならではの作品ですね。
途中「なんか、ちょっと唐突なシーンがあるなー」と読みながら思いましたが、そんなことが些細なことと思えるくらい、ラストは衝撃的でした。いや、だって、あのままボーイミーツガールっぽいいい感じに物語が終わると思っていたのに、最後の最後でまさかのどんでん返しを仕掛けてくるとは。「ちょっと感動返せよ!!」と笑いながらツッコミたくなりました。いやこれは一本取られました。面白かったです!
続編が書けそうな終わり方しているので、もし続編があるのであれば、サラマンダーとノームが活躍しているところを読んでみたいです。ごちそうさまでした!