この微妙な食い違いが、あの時代を彷彿とさせる

ゲームのサントラ、2000年前後のシューティングゲームブーム、黄昏色のゲームの思い出……この作者と同じ時代を生きたゲーム好きなら、きっと懐かしい気持ちに浸れることだろう。

「そうそう、自分もPSやSS時代に安く手に入れたよ、PCエンジンDUO-R」
「やっぱり初期ビーマニの名曲と言えば『20,november』だよね」
「デーイートーナー、レッツゴーナウェイ♪」

このエッセイには、あの時の自分たちの思い出が詰まっている。



と、言いたいところなのだが……。
すごく個人的な話をすると、自分は確かに同じ時代を生きたにも関わらず、何故か作者様と妙にズレていたりするw
自分の思い出のシューティングは彩京の『戦国ブレード』じゃなくて、タイトーの『レイフォース』だし。
レースゲームはセガの『デイトナUSA』じゃなくて、ナムコの『レイブレーサー』にハマったし。
音ゲーは『ビートマニア』よりも『DDR』に夢中だった。
「そんなことを言ったらキリがないじゃないか」と言われるだろうが、どうにもこの微妙な食い違いが個人的には面白くて仕方ない。
きっと格ゲーなんかも2D派、3D派で違っていたり、RPGも『ドラクエ』『FF』派で異なるんじゃないかなと思う。
断わっておくが、それが「つまらない」という話ではない。
先述したように、これが面白いのだ。
同じ時代を生き、同じくゲームを愛しつつも、なんかビミョーに違っている。
若い頃ならその差が容認できないこともあっただろう(一昔でいうところの任天堂派、ソニー派みたいに)。
だけど今なら「そうそう、そんなゲームもあったねぇ」「へぇ、そっちが好きでしたか? 僕はこっちです」みたいに相手との違いが愛おしい。
大袈裟かもしれないが、まるでもうひとりの自分が歩んだかもしれない道のりを見ているような気分になる。
うん、やっぱり大袈裟だったw 単に昔のゲームの話で盛り上がっているだけだというのに。
でも、様々なゲームが溢れていたあの時代、この微妙な差が当時の賑やかさを彷彿とさせるのは決して言い過ぎではないかと思う。

なお、この微妙な食い違いを楽しみつつも、なんかの偶然でぴたっと重なるのも楽しみにしていることを最後に記しておきます。



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