おまけ
「先輩、肩こってませんか?」
「どうだろう、よく解らない」
肩に手を当てて首を横に倒してみる。こっているような?いないような?
「俺、最近マッサージを習得したんですよ」
お昼の休憩室で何かの雑誌を真剣に読んでいると思ったら今度はマッサージか、と笑みがこぼれた。この間は壁ドンを熟読だったっけ。
「それ本当に効くの?」
私の疑いに塚本が、ムッとした顔をする。
「じゃあちょっとここに座って下さい」
休憩室のソファをバシバシと叩いて座る場所を指定する。
「はーい」
かわいい後輩の腕前を拝見しようじゃないか。ぽすんとソファに腰掛けると塚本は立ち上がって私が座るソファの後ろへと回り込んだ。
「いいですか?」
肩に触れることだろうか?と考えて「いいよー」と答える。
「お客さん、こってますねー」
ふざける様な口調で私の緊張も和らげながら肩を指圧していく。やはり男の人だからだろうか力も適度に強く、ツボもちゃんと抑えていてかなり効く。
「すごいね、かなり気持ちいいよ」
私の言葉に塚本の指圧がピタリと止まった。
ん?と後ろへと振り向く前に塚本の両腕が、
すっ、と視界に入ってきた。
そのままぎゅっと後ろから抱きしめられる。
「俺、もう待てないかもしれない、です」
私の首筋に顔をうずめたまま、熱っぽく塚本が声を発する。
「先輩、まだ俺のこと好きになりませんか?」
後ろから回された腕に、そっと手を触れる。
「もっと俺を男として、意識して下さい」
忠犬の下剋上まであともう少しかもしれない。
後輩君の下剋上 篠宮 ゆたか @mikuromikuro
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