第40話 誰よりも速く

 藤巳は自分の学生寮で朝を迎えた。

 四人の女の子と床に雑魚寝して過ごした夜。みんな飲みすぎて力尽きたような格好で寝ているが、皆で消費したワインの量はそれほど多くない。

 今日が前日の酒を残してはいけない大切な日だということは皆わかっている。

「トーミ、おはよう」

 いつのまにか藤巳の胸にしがみついていたレベルが目を開けた。

 眠そうに藤巳の貫頭衣風パジャマに顔をこすりつけていたレベルをシャワールームに連れて行く。一人で入るのを渋って藤巳のパジャマを掴んでいたレベルに何とかシャワーを浴びさせる。

 残りの三人を起こし、ブラーゴとコーギー、アンチモニー校長がシャワーを浴びた後で、藤巳もシャワーを使う。魔法の力で温水の出るシャワーにも慣れたが、ふとアリゾナのモーテルを思い出し、あれの使い方を自分がまだ覚えているか気になった。  

 シャワーやシステムキッチン、25セントを入れる水と氷の販売機の記憶は、まだバスルームに残る四人の女の子の匂いで消し去られる。脱衣所で藤巳がこの世界に来た時から着ているコットンのボタンダウンシャツとデニムのズボンを身につけた。

 バスルームを出ると、朝食の準備が出来ていた。意外な事に作ったのはブラーゴ、まだ背伸びしなくてはキッチンの棚に手が届かないレベルはともかく、校長もコーギーも料理に関しては役に立たないらしい。

 そういえばランチタイムにも、ブラーゴは食べる物に関しては誰よりもうるさかった。藤巳はブラーゴのことを、常に良質のガソリンとオイルを要求するフェラーリをそのまま女の子にしたみたいだな、と思った。

 冷蔵庫の役を果たす石棺の中身を全て並べたような朝食を、皆で喋りながら盛大に食べる。話の内容は特に中身のないものだったが、なぜか皆が今日の午後に予定されている四百の決勝戦についての話題を避けていた。


 朝食を済ませ、皆が各々のドラゴンに乗って校舎へと向かう。先頭はいつも先陣を切るのが好きなブラーゴ、藤巳は前をコーギー、後ろをレベルに挟まれている。最後尾は校長。

 いつも通り朝のホームルームを終え、相変わらず何を言ってるのかわからない学科の授業が行われる。周りの女子は夕べブラーゴたちが藤巳の部屋に泊まったと聞いて色々と噂話している。

 午前の学科授業が終わり、藤巳はここに来て以来常食になっているフライドライスの昼食を取る、最初は米料理だけで腹を膨らます藤巳を訝しげに見ていたブラーゴたちも、今は藤巳のフライドライスを勝手に取って食っている。

 ランチタイムを終え、午後の授業が始まった。生徒たちは各々のドラゴンに乗って実習区画の中央を通る長い直線道路の端に集まる。

 これから、距離四百の学園最速を決める決勝戦が始まる。

 前評判通り決勝に残ったブラーゴのフェラーリと、まさかの男子新入生の乗ったシボレーC-10トラックの対決、それに加えアンチモニー校長のランボルギーニまで参加することとなった。 

 三台のドラゴンによる勝負。藤巳は校長に聞いた。

「どうするよ?一台ずつ走ってタイムアタックか?それとも俺とブラーゴの、どっちか勝った方があんたと勝負するか?」

 いつも通りスカート丈の短い黒のゴシックドレス姿の校長は、「ランボルギーニ・カウンタックのドアを派ね上げ、分厚いサンドシルにちょこんと座ったまま言う。

「三台同時で」

 藤巳はコースを見た。横幅はせいぜい15メートル。直線走行とはいえまっすぐ走るとは限らないドラッグレースでは危険すぎる状況。

「それでいい」

 藤巳は自分のシボレーでニトロを使うのは一度きり、それが限界だと思っていた。


 校長は小さなお尻を滑らせ、ランボルギーニに乗り込む。そのままスタートラインの左端までランボルギーニを動かした。

タイヤを温める試走もコースを下見するレッキ走行もなく無くいきなり本番ということらしい。ブラーゴも異存無しといった感じでコースの右端にフェラーリを着ける。

 藤巳は導かれるように二台の真ん中にシボレーを持ってきた。ステアリングミスを一切許さない配置。

 ドアを開けたままのランボルギーニから校長が顔を出した、車内に置いていたらしき旗を手に持っている。

 白い塩湖の中でも視認しやすいオレンジの下地に、人物を図案化したらしき紋章が染め抜かれている。

 藤巳はそれが聖書で見たことのある聖人セント・クリストファーに似ていることに気付いた。主イエスを背負って川を渡った使徒で、旅人や職業運転手の守護神と言われている。

「誰かフラッグをお願いします」

 校長が言うや否や藤巳のシボレーと校長のランボルギーニの間に、濃いグリーンのジャガーが滑り込む。

「校長、私が」

 ジャガーから降りたコーギーはフラッグを受け取り、ジャガーの前を回ってシボレーの側まで来た。

 コーギーは窓を開けた藤巳に顔を寄せる。

「わたしとジャギュアに会いにきて。誰よりも速く」

 コーギーはさらに顔を近づけ、藤巳の唇にキスをした。藤巳も応じる。

「ありがとう、コーギー」

 周囲の女子が歓声とも悲鳴ともつかない声を上げている、筆頭は校長。ブラーゴは醒めた目で見ている。キスを終えた後も見つめあう二人に割り込んできたのはレベル。

 カマキリの攻撃のように両手を振り上げ、藤巳から引き剥がす。それからコーギーが旗と一緒に受け取ったストップウォッチを奪い取った。

「タイムはわたしが計る。トーミ、待ってるから」

 藤巳はレベルの銀色の髪をクシャクシャ撫でた。目を細めて気持ち良さそうにしていたレベルは、意を決したように藤巳から離れ、シボレーの前を回ってフェラーリに歩み寄る。

 特に緊張するでもなくフェラーリの車内から皆を見渡していたブラーゴは、レベルに窓を叩かれて面倒くさそうにサイドウインドを巻き下ろす。

「お願い、トーミをどこにも連れていかないで」

 ブラーゴはレベルを見て、自分のフェラーリに並んだ速度、回転、油温、油圧、水温のの各種メーターを見て、それから藤巳を見ながら言う。

「あいつをどっかに連れてってやる気なんてないわ。ただ私は知らない奴に教えてやるだけ、フェラーリこそがスピードの神に愛された唯一のドラゴンだって」

 レベルはブラーゴの手を両手で取り、しっかり握った。それからまたシボレーの前をちょこちょこと走り、コーギーのジャガーに勝手に乗り込む。

 昨日大破したレベルのポルシェはまだ全て修復されていないらしい。損傷軽微だった藤巳のシボレーは一晩明けるとこの上なく快調になっていた。

 レベルがシートベルトを両肩に通した途端。ジャガーは走り出した。

 タイヤが塩湖の塩を巻き上げない静かな発進だったが、どんどんスピードが上がっていく。

 藤巳が目を見張るほどの加速。昨日ブラーゴのフェラーリと勝負した時より速いだろう。もしも今ここに並んでいたら、他の二台に引けを取らぬ強敵になっていたに違いない。

 藤巳の勘と大まかな測定では十一秒を切っているであろう速さで四百の位置に達したジャガー。遠くに車外に下りたコーギーとレベルが見える。合図するように旗を持ち上げ左右に振った。

 藤巳はクラッチを踏み、ギアを一速に入れてシボレーのアクセルを煽る。V8のエンジン音が響いた。右からはランボルギーニ。左からはフェラーリのエンジン音が聞こえる。

 コーギーが旗を高く持ち上げる。不意に藤巳の聴覚からエンジン音と周囲の喧騒が消え、自分の鼓動音だけが聞こえた。

 旗は振り下ろされた。急激に耳に流れ込んでくる轟音。藤巳はシボレーのアクセルを踏みこみ、クラッチを吸い込ませるように繋いだ。

 首が後ろに持っていかれる加速。シボレーとランボルギーニ、フェラーリは猛然と加速を開始した。


 三台の四百勝負は昨日の藤巳とレベルの試合の再現のような感じだった。

 発進加速ではミッドシップのランボルギーニが先行し、その僅か後ろをフェラーリ・デイトナが追う。

 フロントエンジンで発進加速の重量配分が不利なシボレーは出遅れる。同じフロントエンジンのフェラーリはトップを走るランボルギーニに僅差で食らいついていた。

 いくらカスタマイズを施しても足回りの古臭いシボレーは発進時のパワーをだいぶ浪費させられたが、ここからの加速は他の二台を大きく上回る。

 九百馬力のパワーと推定80kgオーバーのトルクを発揮し、二台を一気に抜き去るが、六千回転を越えたあたりからトルクの下降が始まり、抜き返される。


 藤巳にとってランボルギーニ・カウンタックとフェラーリ・ディトナの性能は驚くべきものだった。

 双方とも外車輸入業をしていた父が商品として扱っていた時も、アリゾナの博物館で収蔵品としてメンテナンスした時も乗ったことがあったが、ローカルレース仕様のエンジンを積んだシボレーが遅れを取るような車ではなかった。

 今、ドラゴンの名で藤巳と共に走っているのは藤巳が知るフェラーリとランボルギーニとは異なる。

 以前父に聞いたことがあった、実際の性能が宣伝文句より大きく劣るランボルギーニには、フォーミュラ・ワン用エンジンのテストベッドに使われた特別なバージョンがあると。

 フェラーリにも同様のスペシャルメイクがあることは博物館の先輩職員フランクリンとミントから教えられた。こっちは中東の富豪の依頼で作ったというIMSA出場用のレーシングエンジンを積んだ特注車。

 藤巳は畏怖より歓喜に似た感情に包まれる。このシボレーがそうであるように、同じく猛獣の性質を宿した車と、それを扱う者たちの中に自分が居る。場違いな街中で生きていた怪物が同種の棲む地を見つけた気分。

 藤巳は二速にシフトチェンジする。もう一度二台を抜き返し、また追い抜かれる、そんな事が楽しくてしょうがない。

 三速。さっきまでと同じ高回転域での失速が始まる直前、藤巳は迷うことなく青いボタンを押した。このシボレーが本物の怪物になるスイッチ。

 後ろから女神の手で押されているような加速。追いすがってきたランボルギーニとフェラーリを引き離す。藤巳がこの世界に来て初めて味わう一千馬力の領域。その先に何が待っていようと構わなかった。

 周囲の風景が形を成さぬ奔流になる中、ゴールだけが見えた。待っているレベルとコーギーが藤巳に向かって何か言っている。二人の姿が薄れていき、やがて消えた。

 

 藤巳はシボレーに乗って、白い世界を走っていた。

 アリゾナの砂漠ではない。塩湖の地面と青い空の世界でもない。ただ前後左右が真っ白な中を、走るような浮遊するような感覚。自分が移動しているかさえわからなくなる。

 走るために様々な不自由に縛られたアリゾナ。それらの制約が無く、どこまでも走っていける地面のある塩湖の世界、いずれとも異なる、本当にどこをどう走ってもいい世界。

 藤巳はこれは自分の求め続けた自由かと思った、道標もなく走る仲間も居ない。走ることの出来なくなった車の墓場のような場所、こんな白い空間をいつまでも走り続けるのが、自由という地獄かと思った。

 シボレーのアクセルを踏む。エンジンは回り、タイヤが何かを蹴っている感触はあるが、白い風景は動かない、走っているのか止まっているのかさえわからない。

 怖いか、帰りたいかと自分自身に問いかけた。制約だらけだったけど走る実感のあったアリゾナ。一緒に走る大切な仲間の居た塩湖の世界。戻るべきなんだろう。でも、アクセルを踏みエンジン音に耳を済ませ、振動に身を任せているうちに、帰りたいけどどうしようか、そのうち帰れるようになったら帰ることも考えてみようって気分になってくる。

 白い世界が眩しい、視界全体が発光をしている、藤巳とシボレーは、目が開けられなくなるほどの光に包まれた。


 道の上に居た。

 青い空。一本だけ通ってる舗装の荒い道路、周囲は砂漠。

 55マイルの速度制限を表す標識が道端に立っていた。窓を開けると焼け付くように暑い。そのまましばらく走っていると、見慣れたペプシコーラの大きな看板が現れた。

 藤巳は自分がアリゾナに戻ってきてしまったことを知った。

 あの世界は夢か何かだったのだろうか?それとも自分は車の墓場というものを垣間見たのか。もしそうだったとしたら、自分とシボレーはどこまでも走り続ける聖人の列に加わるには不適格ということで返品されたのかと思った。

 よく目印にしていたペプシコーラの看板のおかげで現在地はわかったので、Uターンして博物館への帰路につく。

 自分が速度違反で捕まると致命的なワーキングホリデービザで滞在している身だということを思い出し。安全速度を心がける。

 ふと、いくらスピードを出しても良かった塩湖の世界を思い出す、藤巳が一千馬力のシボレーで行った世界。

 藤巳は静かに走るシボレーのステアリングに設置された青いポタンを見た。そう、今からでも行ける。ボタンを押そうとした藤巳は、シボレーの異変に気付く。

 エンジンの不均一な感覚。微かに聞こえる異音。車が壊れても自然に治る塩湖の世界には無かった現象。 

 何か言いようのない不安を覚えた藤巳は、自身の職場であるホットホイール博物館への帰路を急いだ。


 博物館に戻ってみたところ、先輩職員のフランクリンが居た。

「よう遅かったな。昼飯はまだ冷めてないから早く食っちまいな」

 どうやら藤巳のあの世界での数日間は、こっちの世界ではあっと言う間だったみたいだった。もう一人の職員ミントが少し険しい顔をする。

「そのシボレーをちょっと見せてくれ」 

 こっちの時間軸ではニトロを装着して間もないシボレーは博物館のメンテナンス工場に入庫した。藤巳が煮込んだ豆とサンドイッチの昼食を取っていると、工場から出てきたフランクリンとミントが、シボレーを整備して判明した事実を告げる。


 二人の先輩職員の話では、シボレーにニトロを搭載し一千馬力を絞り出すのはやはり厳しいということ。

 先ほどの一度だけの全開走行で、エンジンの熱量に負けてヘッドが歪み、圧縮漏れを起こしていた。

 クランクも軸受けメタルを損傷している恐れがあるらしい。ローカルレース仕様のエンジンとはいえクランクケースとシリンダー、ヘッド等のエンジン本体はノーマル。強度的に無理が出てきたという。

 このシボレーは九百馬力を上限に、足やボディを仕上げていったほうがいいというフランクリンとミント、藤巳は二人に乞うように答えた。

「一千馬力無くちゃダメだ」

 当初は藤巳自身の安全を考え、説得しようとしていた二人も、自分の弟か息子のように思っている若い後輩職員の藤巳の姿を見て、シボレーに再び一千馬力のパワーを与えることを決めた。


 それからが大変だった。ニトロによる緊急的な馬力アップではなく、常用一千馬力を目指しスーパーチャージャーの搭載を決めた。

 エンジンをバラして脆弱部位への地道な補強を施す。ヘッド歪みの問題はパワーによる負担と並ぶもう一方の原因であるキャブの同調不良を徹底的に潰すことで改善した。

 藤巳とフランクリンとミントに加え、博物館オーナーのマテル氏まで加わったシボレーのチューンアップ。その中で藤巳は決めた、大学受験に失敗してここまで流れてきたが、これから自分はスピードと共に生きていくと。

 一ヶ月近い作業を終え、慣らし運転を終えた日、藤巳はあのアリゾナの砂漠を横断する道の上に居た。

 これから工場にあるパワー測定用のシャーシダイナモに乗せ、掛け値抜きで一千馬力のパワーが出ているかチェックする予定だったが、正直我慢できなくなった。

 フランクリンとミントもお見通しといった感じで藤巳を送り出してくれた。

 地図では廃道扱いで他車の無い直線道路。気まぐれに姿を現すパトロールカーの巡回までまだ時間はある、藤巳はシボレーのアクセルを踏み込んだ。ニトロ搭載時よりもずっとスムーズな加速で、シボレーは一千馬力のパワーを発揮し始める。


 やっぱり白い光に襲われ、藤巳はどこか違う世界に居た。

 あの時走った四百のコース。バックミラーにはランボルギーニとフェラーリ、前方にはコーギーとレベル。

 一度お預けになったとはいえシボレーが負けてなるものか。藤巳は迷わずアクセルを踏み込み、ゴールラインを通過した。

 

 ゴールを通過してブレーキをかけ、停止したシボレーから降りた藤巳のところに、レベルが駆け寄ってくる。

「トーミ!トーミ!トーミ!」

 藤巳に抱きつき、匂いを確かめるように顔を擦りつけるレベル、横から体をぶつけてきたのはコーギー

「約束通り来てくれたわね、誰よりも速く」

 藤巳にキスをするコーギー、カブトムシの威嚇のように引き剥がそうとするレベル、そこへフェラーリとランボルギーニがやってきた。

 停止した二台からブラーゴとアンチモニーが降りてくる。

 ブラーゴは藤巳の胸倉を掴んだ。

「遅かったじゃないの!」 

 コーギーがくすくす笑ってる。

「トーミくんが居なくなって一番落ち込んでいたのはブラーゴだったのよ、もう一度四百をやれば戻ってくるって聞いて真っ先に食いついたし」

 ブラーゴは真っ赤になって首を振る。

「こいつとの勝負がついてなかったからよ、今日もゴールしたのはあんたが先だけど、いきなり戻ってきといて勝ちなんて認めないから!」

 アンチモニー校長は藤巳のシボレーを見ている。スーパーチャージャーを収めるため、少しでもフロントを軽量化するためアルミで作りなおしたボンネットに触れる。

「どこかに寄り道していたみたいですね」

 藤巳はしがみついて離れないレベルの髪を撫でながら言った。

「どこにも行かないって約束したからな、戻ってきた、またどっかに行くかもしれないが必ず戻ってくるよ」

 藤巳のシボレーとブラーゴのフェラーリ、コーギーのジャガーとレベルのポルシェ、アンチモニーのランボルギーニは皆の待つスタート地点に戻った。

 藤巳は他の生徒たちにも歓迎される、勤労奨学生としてシボレーに荷物を積み、皆のため働いたのもそれなりに役に立ったらしい。

 アンチモニー校長が藤巳に聞いた。

「これからどうしますか?」

 聞いたのは放課後の予定なのか、それとも、藤巳はとりあえずもう一度この世界に来るまで考えてたことを口に出した。

「四百だけじゃ誰が速いかなんてわかわない。今度は外の塩湖で最高速勝負だ、次はジムカーナにラリーにダートレース、それからこの塩湖にサーキットを作るぞ!」

 少女たちに藤巳の発した単語は理解できなかったが、高揚は伝わったらしく、皆で歓声を上げる。

 藤巳には自分がこれからどうなるのか、何をすべきなのかはまだわからなかったが、とりあえず自分のシボレーで誰よりも速く走る。それが終わるまでこの世界でやるべき事は終わらないと思った。


                    (終)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ドラゴンドライバーズ トネ コーケン @akaza

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ