主人公のアレックスとその仲間達は、いわゆる巻き込まれ系主人公という立ち位置で物語は進んでいきます。
しかしながらその物語は甘さやご都合主義は一切排除しています。
戦えば死者は出るし、敵に捕らわれれば酷い目に合う。
その容赦のなさが、一人一人のキャラクターが「いきている」という尊さを感じさせます。
また主人公は「不殺」を貫く精神を持っていますが、それで済むわけがないのがこの物語です。しかしその理由付けや精神的悩みも深く描写されているので、彼もまた「甘い」わけじゃないことが読者として深く考えさせられました。
宇宙を舞台にした重厚なロボットファンタジー。
是非ともご覧あれ。
平和主義の信念が現実と摩擦を起こす主人公。
世界平和のために人類を恐怖に陥れる敵役。
どちらも一面では正しく
他の面では間違っている。
完全な人間などいないのでそれは当然ですが
そんな不完全な正しさを追求する彼らの姿が
とても眩しく見えます。
その2人だけではなく、多くの登場人物たちが
良かれと思って、善意に従って、最善を尽くす。
ただ、価値観が違うがために
行動の方向性がちがってきて
それが対立の原因になってしまう。
誰もが真摯に、必死に生きているからこそ
圧倒的なリアリティのドラマとなり
胸を打ちます。
そうしたドラマを通じ、
戦争・殺人、そして不殺。
重く難しいテーマに正面から向き合う
作者様の本気がバリバリ伝わってきます。
掛け値なしの傑作、まだの方はぜひご一読を!
コロニーに住む平和主義の少年がひょんな事から世界のカギを握るロボットに乗り込む。そして彼はその思い責任に、苦しい決断に迫られる。
ストーリーに必要な葛藤やドラマ。これは主人公だけではなく彼の周りの人物に与えられており、それがまたストーリーに華を添えてくれます。
またモビルスーツよろしく様々な姿形と種類が豊富なDSW(ロボット)。それが繰り広げる戦闘も、これまた手に汗が握る程に熱い!
果たしてアレックス君の葛藤に答えが出るのか分かりませんが、いつしか彼なりの考えが出てほしいと僕は思います。
ガンダム的なスペースSFを楽しみたい方、ぜひお手元に取ってみて下さい!
ロボット好きなら思わずニヤリな小ネタがてんこ盛りな作品。
しかしただのオマージュというわけではなく、材料を上手いこと料理している感じ。シチュエーションとかも何処か馴染みのあるものなのですが、自然に組み込まれている辺り作者さんの力量を伺わせます。
富野節なんかもちょいちょい。富野節には意味のわかる富野節と、意味のわからん富野節がありますが、こちらのはちゃんと意味がわかる方です。ご安心してお読みください。
ただ、各話のボリュームが結構あり、なおかつ群像劇なのでストーリーが前後したりでかなり丁寧に進むので読むときはお時間のあるときに。とりあえずvol.1だけでもお試しを、なかなか驚かされるラストだと思います。
vol.2はフロッグマンの狂いっぷりが素敵過ぎていうことなし。こういうキャラ大好きです。