先輩冒険者さんが助けてくれるのできっと大丈夫なのです! 新米冒険者の日記帳
神聖歴六一〇三年・
どもども~、今日は冒険者ギルドへ通常出勤の白猫アイナちゃんっすよぉ~。
ナメークハンターズさんへの密着取材は昨日で一応終了したっすからね。
今度はそれをまとめる作業っす! ギルドのイメージアップと新米冒険者のやる気を向上させるようななにかを頑張って作るっすよ!
大丈夫! アイナちゃんはやればできる子だから!
そうそう、逐一メモしていた取材の経費っすけど……。
な、なんと! なんと! 全額支給されたっすよぉ~!
わぁ~い! いやー、よくて八割、ギリギリで五割と思って少し心配してたんすけどねぇ。
でも、ちょっと失敗したっす……。
経費でバッチリ落ちるなら、もっと色んな店を食べ歩いておけばよかったっすよぉ。気になる店を沢山教えてもらったのに、残念。
とか自分の机でメモを確認しつつ呟いていると、今回は特別だ馬鹿! 無駄遣いしたら次は払わねーよ! なんて言葉とともに空から拳骨が降ってきたっす!
ぐすんっ……割と本気で痛いっすよ、これ。
まさか後ろにギルドマスターがいるとは……なにかご用っすか? 今回の取材内容はまだまとめ終わってないっすけど?
耳をへにょらせながら涙目で問いかけると、ナメークハンターからお前さんへ贈り物だとよ、と手渡される小包。
不思議に思いつつ開けると、中には赤い革表紙の日記帳と一通の手紙が……。
えっと……これはなんすかね? う~ん、とりあえず手紙を読むっすか。
手紙に目を通すこと数分。
こ、これは……この日記帳、リーダーさんが冒険者になってからの日々を一年間、365日休まず書き記したものらしいっすよ!?
それで、今回の取材内容だけだと色々足りないだろうから、資料の足しに使ってほしいって……。えぇ、リーダーさん流石にいい子すぎないっすか!?
だって、すっごく貴重だと思うんすよ、この日記!
予想外の品にあわあわしていると、仲間って認めてもらえたんだろさ。いいもん作れよ。アイナちゃんはやればできる子なんだろう? と笑うギルドマスター。
うぐっ……この人、一体いつからアタシの後ろにいたっすか。
でも、そうっすね……託されたのならしっかり頑張らないと!
★ ★ ★
日記を受け取ってから数十日後。
できた! 完成! 完成っすよ!
冒険者ギルドのイメージと新米冒険者のやる気を向上させる物語が!
凄い、流石はアイナちゃん! やればできる子!
なんて完成直後の原稿を眺めながら一人でニヤニヤ。
さて、あとはこの物語に題名をつけないとっすねぇ。
う~ん……あの子の日記帳が「365日の冒険者日記」だとするとこれは……。
悩むこと数分……よし、決めたっす!
「先輩冒険者さんが助けてくれるのできっと大丈夫なのです! 新米冒険者の日記帳」にするっすよ!
だってあの子の日記を読んでいると、本当に周りから愛させて助けられて成長したんだなって思えるっすからね。この題名以外に考えられないっす!
さてと、この原稿を持って久々にナメークハンターズさんの拠点を訪ねるっすか。ふふっ、これを読んだらあの子はどんな顔をするんすかね?
想像しただけで今からワクワクするっす! ではでは行ってきまーす!
~取材メモ、終了っす!~
先輩冒険者さんが助けてくれるのできっと大丈夫なのです! 新米冒険者の日記帳 荒木シオン @SionSumire
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