取材メモ⑨:打ち上げっすぅ~!

 神聖歴六一〇三年・皋竜こうりゅうの月第九日・天気:曇


 はいは~い♪ 時刻はお昼! 白猫アイナちゃんが王都に無事帰還したことをお知らせしますっすよぉ~。

 はぁ……たった数日離れていただけなのにすっごく懐かしいっすねぇ。

 街は普段通りでなにも変わっていないはずなのに、なんだか涙が出そうっす。


 街を眺めながら、ナメークハンターズのメンバーと冒険者ギルドへ。

 依頼の報告をしないといけないっすからねぇ。

 ゆっくり休むのはまだもう少し先になりそうっす。

 密着取材っすからね……最後まで頑張らないと……。


 受付で対応をしてくれたのは、右目に眼帯をした女性……。

 アイナちゃんの上司! 冒険者ギルドマスターっす!

 けど、どうしてこの人はいつも受付にいるんすかね? ギルドマスターの仕事って案外暇だったりするんすか?

 

 なんて思いながら見つめていると、険しい目つきで睨み返されたっす!

 ヒィィッ! すみません、ごめんなさい、なんでもないっす!

 アイナちゃん、ギルドマスターを暇人だとか思ってないっすよ! いや、本当に!


 で、報告が終わったら解散すると思ってたんすけど、夜に再びギルドの酒場に集まって打ち上げをするという話になったっす!

 ふふふっ……依頼から無事帰還したあとの冒険者たちの宴! 取材のしがいがありそうっす! それにアイナちゃんも実はすっごく飲みたかったっすからね!


 夕方。お風呂に入ってサッパリしたあとギルドの酒場へ。

 ウキウキしながら中に入ると、既にナメークハンターズさんたちの面々が!

 そしてテーブルには数々の料理に沢山のお酒! って、待って、待つっすよ!?

 どれもこれも高級品ばかりじゃないっすか!?


 特にサマラさんが嬉しそうに頬ずりしてるボトルとか、店によっては金貨一枚も飛ぶ超高級酒っすよ!?

 料理だって鱗牛のステーキに黄金鶏のソテー、宝石海老の酒蒸しや黄金海藻のサラダなどなど……。

 もしかして高額なメニューを片っ端から頼んでないっすか、これ!?


 テーブルの上の総額を考え呆然としていると、打ち上げですからね! 使うときはパーッと使うのです! と無邪気な笑顔を向けてくるリーダーさん。

 いや、これはそういう次元を超えてるとアイナちゃんは思うっすよ!? 


 思わず突っ込むっすがそれはサラッと流され、ノアさんを中心に乾杯の音頭が始まったっすよ!?

 けれど、サマラさんとルイナさんは待ちきれないといった様子で飲み始め、先輩をマネしてルルさんも料理をせっせと取り皿へ載せ始めたりしてぇ……。

 って、待つっす! 今、ニコさん料理に変な薬を混ぜなかったっすか!?


 いやぁー、混沌としてるっすねぇ……。

 けど、これがなぜか楽しいと感じてしまうんすよねぇ……。

 やっぱり冒険者っていいもんすねぇ……リーダーさんが色々あってもこの仕事を続けている気持ちが今なら少しだけ分かるっすよ……。


 さてと、そろそろアイナちゃんも混ぜるっす!

 その超高級酒! 前々からすっごく気になってたんっすから!


 経理への申告用メモ

 銅貨:1枚(公衆浴場利用料)

――――――――

 前日からの合計:金貨1枚、銀貨19枚、銅貨28枚


 も、もう飲めないし食べられないっすぅ。アイナちゃん限界……。_(┐「ε:)_コテッ

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