ハロウィン
【夫のターン】
巷では日本もハロウィンというものが人気らしいが、そんなことはなんの関係もなく地球は回ってるし会社もある。あと、もう少し若かったら会社を休んで仮装を……いや、しないな。
帰ったら、今日の妻はどんな格好をしているだろうか。一昨年は貞子。去年はエクソシスト。もはや、間違いなくロクでもないコスプレをしているのは間違いないのだが。
「修さん」
その時、事務の山田さんから声をかけられた。受話器を持っているので、どうやら応答待ちの状態だ。
「なんですか?」
「その……ギャルが待ってるそうです」
!?
グループの同僚中の視線が、全て俺に集まった。
「ギャルに知り合いなんかいませんけど」
「でも、絶対に知り合いだって言ってますけど」
「……っ」
「「「「「……」」」」」
おい、お前ら。仲間をそんな目で見るんじゃねーよ。援助交際もパパ活もやってねーよ。
「と、とにかく行きます」
冤罪の疑いをかけられて、もはや、この場にはいづらかったので逃げるようにロビーに向かった。
・・・
「……っ」
ギャルだ。
というか、妻だ。
「おい」
「なにぽよー!?」
里佳が両手の人差し指を俺に向けて突き出してくる手を。
バシッと乱暴に払いのけた。
「お前……なにしてんだ?」
「……」
「スマホをいじるな!」
「テイラースウィフトまじ神」
「うるせー! おい、どうしたんだよ!? どこでなにをどう解釈すればいいか教えてくれ!?」
とガクガクガクと両肩を揺らす。
いったいなにが起きたというんだ……と言うか、お前恥ずかしくないのか。ギャルのコスプレなんて……コスプレ……
!?
「お前……まさか……」
これがハロウィンの……
「てか、しゅわっちはさーー」
「ぶん殴るぞてめえ」
ここをどこだと思ってるんだ。昼休みとは言え、会社だぞ。そのロビーでお前、マジか。
お前、マジか。
「やばたにえーん!」
「……」
バシッと。
強めに妻(ギャル)の人差し指を払いのける。
「いやっ……おまっ……」
恐らく日サロで行ったであろう、小麦色に焼いた肌。
恐らくネイルサロンに行ったであろうストリートファイターIIのバルログみたいな爪。
完全にギャルに成り下がっている(上がっている?)。
「てか、しゅわっちはさーー」
「さっきからそのしゅわっちってなんだ!?」
普通、修っちとかだろう。ウルトラマンのアレじゃないんだから。
「……タピる?」
「タピらん!」
なんなんだよ……なんなんだよタピるって……
「言うても」
「うるせー! 絶対ないから! 絶対にありえない!」
「なしよりの……あり?」
「なしだっつーとるだろ!」
なしよりのなしだよテメーなんて。
「……タピる?」
「タピらん!」
だから、なんなんだよタピるって……
「とにかく、戻ってくれ! いつものお前に戻ってくれー!」
少なくとも、社会人の戦場たる会社の中では勘弁してくれー!
「それな」
「殴るぞ!」
お前……そもそも意味わかってんのか!?
「……リアルガチ?」
「嘘に決まってんだろ!」
「あーそろそろフロリダ」
「あっ……おい、お前……どこに……待ってくれーーー!?」
意味教えてくれー!
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【宣伝】
こんにちは! はなです!
いつも『初めて妻を殴った』を読んでいただきありがとうございます!
更新は思いついたときにしている感じですが、それでも読んでいただいてる方は本当に感謝です。今後も、暇なときにでも手にとっていただければこれ幸いです!
そして、作者恒例の宣伝ですが、一つ作品を書きましたのでよろしければぜひ読んでみてください。結構ほかの小説でもしてるので、「何度もその宣伝みてるよ」という方は自信作ということで好意的に解釈していただければこれ幸いです(自分勝手)
タイトル
『おっさんに歌うラブソングのようなもの、少女に贈る物語めいた小噺』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888682205
日常モノのラブコメディーです。現在、10万字ほど書いており、本日より毎日投稿していきます。(初日は5話投稿)
作者が言うのはなんですが久々の自信作です。中毒性が高いといいますか、ハマる人にはかなりハマるのではないかと、自分の中では非常に期待しています。
なので、ぜひぜひ皆様ご拝読いただければ幸いです。
長々とすいません……今後ともよろしくお願いします!
初めて妻を殴った 花音小坂(旧ペンネーム はな) @hatatai
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