彼女はリアリストな優等生。彼は手の早いお坊っちゃま!?
- ★★★ Excellent!!!
貧しい生い立ちのカティは、
お金と自分の力しか信じない。
一人で生きていけるように魔術を磨き、
奨学金とバイトでギリギリの生活を送っている。
裕福な商家から住み込みの仕事を依頼され、カティは引き受ける。
仕事内容は、休暇の間のご子息の家庭教師。
しかし、ご子息とやらは暴力的な男だという前評判で、
カティも到着当夜から、無茶なお願いをされてしまって……。
ギャップの激しい好青年マティウスを始め、
登場人物たちに嫌味がなくて、応援したくなる。
恋愛も語られるけれど、溺愛一辺倒などではなくて、
生い立ちに絡んだ苦悩や葛藤が描かれた人情劇でもある。
さくさく読み進められる軽やかな作風が、
現実主義者のカティの語り口に合っていて、
明るい未来を予感させるラストも素敵だった。
読後感のいい作品、すごく好き。