思春期。あらゆるものに色気を感じたあの頃。
否。そうしなければ、生きていけなかったんだ。
大人たちの手によって、ソレは厳重に隠匿されていたから。
それが今ではネットにアクセスするだけで簡単に手に入っちまう。
挙句の果てはスマホでお手軽ぽんだ。
知ってるか?
茂みのなかで濡れた雑誌のガードを解くときのもどかしさを。
知ってるか?
昼はカバーで覆われ深夜にだけ光ることが許された自販機を。
知ってるか?
BS放送でモザイクのかかった肌色に想像を膨らませる丑三つ時を。
僕たちは便利になっただけ、いろんなものを失ったんだよ。
「イックーさん」は僕たちが何を失ったのか、教えてくれるんだ。
※まさかの書籍化! カクヨム、マジですげえな。
レビューを投稿するならこの日、と決めていました。
某仏教大国では日本よりも人気を博した小坊主さんが主人公の名作アニメ。
それを大胆アレンジ、というより根本(こんぽん、ねもとじゃないです)から別ベクトルの作品に仕立てています。
内容はみんながキライではなく、結構好きな――――でも天下の往来では口にしにくいもの。
本作では微に入り細を穿つように徹底した世界観、風俗(エッチなやつ……だ!)時代背景まで見事に一色に染め上げています。
まさに感服の極み。
これを読んでから小一時間あとくらいしたあなたも、賢者のように爽やかで澄み切った笑顔、クリアな視界、明晰な洞察力を得られるかもしれません
(ならない(-_-).。o○0〇
ひどい。
それ以上にこの作品を的確に表現する言葉が思い浮かばない。ひどい。起承転結、徹頭徹尾、全方面に渡って余すところなくひどい。しかし、それは同時に驚嘆すべき事柄でもある。このような純度100%ひどさ、綿密な計算なしに到達できるものではないからだ。
自然界に「純水」は存在しない。真にピュアなものはいつも人の叡智によって作られる。もし本作の作者が天然自然に任せて思いついた下劣な言葉を書き殴るだけの人間であったなら、不純物を多く含んだ苦み走るひどさが姿を現して終わったはずだ。作品が作者のたゆまぬ努力に裏打ちされているからこそ、汚れを知らぬ乙女が初めて抱いた恋心のような澄んだひどさが生まれ得る。
さながらコーヒーを一滴ずつドリップするように、頭蓋の中のるつぼを掻きまわして少しずつ少しずつ純粋なひどさを抽出する。やがてコーヒーカップに溜まったそれは珍妙な色をしており、貴方はそれを一見して美味とは思えないだろう。しかし濃厚で芳醇な一風変わった香りが貴方を惹きつけて離さない。果たしてこのようなものが本当に美味いのだろうか。興味半分恐怖半分で口をつけた貴方は、きっと、ほとんど無意識にこう呟くはずだ。
「これはひどい」
是非、ご賞味下さい。
さらりとしているのに濃厚、匂い立つ個性、非常に味わい深い。
コンパクトで、トンチが効いていて、オチもある。一休さんパロディに求められる作話技術は高い。それを当然のごとくにクリアしてからの、容赦なくまぶされる下ネタ。
下ネタがこれでもかというほど丁寧に散りばめられている。むしろ敷き詰められている。土台の話からして下ネタなのに、その上に下ネタをトッピングする。下ネタミルフィーユ。
人生でこれほどまでに下ネタまみれの文章を読んだことがあっただろうか、いやない。あってたまるか。官能小説ではなくて下ネタ小説。エロがエロくならず、おかしみを醸すギリギリを攻め込み続けるエクストリームレーティング、面白い。バスの中で読んで悶絶している。