甘酸っぱくも恐ろしい青春SF短編

物語は、さわやかな青春ラブストーリーのように始まります。ところが、舞台は現代ではありません。その世界観も、本当にありそうに思えるような周到な仕立てです。黒板があるような昔ながらの教室の窓の外に、近未来的な摩天楼が立ち並んでいるような、そんなイメージを描きました。少女が正体を現すところは、空恐ろしくもあり、エロティックでもあります。そもそも思春期の少年が初めて味わう異性体験は、かくも恐ろしく驚きに満ち溢れているものなのでしょう。この物語は、そのような普遍的体験の比喩なのだと思いました。全体としてイメージが非常に美しく、ぜひビジュアル化して見たい作品だと思います。

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