登場人物 イメージ詩集

『パレス』


苦しい思いをして 生きてきて

楽しいことは 思い出せない

けれど心の中には まだ

美しい神様が 座ってる


頭の中が 世界のすべてでも

私は 誰かと生きたいの

切なる願いの火は 消せない

たとえそれが どれだけ幼稚でも

宝物のように 変わらない

価値があること


私が 閉じ込められているのは

自分の中 解き放てない弱さ

決断することの 難しさ

依って立てない 社会の真ん中

私は体をそらして

身構えた


戦わなきゃならない

世界の掟は

私が作り出したの

ルールは 私が作ったの

それは 私を守って 守らない

罰することばかりで 辛いだけ


それでも 囲いの中に

留まっている 悠長さ

どうか呪ってね 私のことを

お城とはいかなくても 穴

なのよ 思いの丈だけ

沈む穴


私の心は 見えない 闇の中

照らしてごらん

その奥を

辛いことだけじゃないはずだと

真実の天使が 言っている



『バツが悪い』


今 正しさの定義にひびが入ろうとして

助ける相手が 自分では無いときに

昨日からの続きが 私の関心事であるのは

少々 困ったことだと思うわ


今も 泣いている人は幾人か居て

私のことを知らないわけではなかったり

でもね 私はインサイド この世界の危機

はアウトサイド


お釈迦様が 指を立てているのは

注意をしてほしいというだけ

私も言いたい 「ちょっと気を付けて」と、

それだけなんて 

サービス精神の 出し惜しみかもしれないけれど

人助けの 最善策には違いない


けれどなぜなぜ 人の情というものは

不足を憂えて 非難する

誰も悪いわけではないはずよ

私の知っている世界は あなたのと同じはずだから



『恋人たち』


恋人たちの星が 空に瞬く時

貴方が向けた 広い背中に陽が当たり

正当性の翼を 授けたように

驕った間違いを 夢へと昇華させた


試されているのかと 貴方の言葉は

私に様々なものを委ねているようで

どれかひとつだけでも 十分すぎるほどの秘密や

確かな絆を

育て上げてしまう


私の問いかけに 正直に応えるあなたの

その心の中に

まだ見えない当惑や 虚無はあるの?


求めずにいられない明日のために

生きているのかもしれないって

ふと思ったりした


君の手のぬくもり

君の瞳の温かさ

君の首筋の鼓動に 何かが確かめられるとするならば

二人が 生きているということくらいだ


その他のどんな現実も 君と僕の間では

危ういくらいに 揺らぐのが分かるから

この接近と包摂は まるで破壊のように映るだろう


日々生まれ落ちて行く 創造性の欠片は

足元へ堆積し いつか僕たちを明確な何かに変えてしまう

それまでのあやふやな

僅かな間の未熟なやりとりのすべてを


慈しみ 儚み

壊れ物のようにそっと胸にしまい

ふたりで誓いのキスを交わそう



『一日』


日が巡って一日が終わる 焼けるような雲の隙間は

明日と今日の裂け目なのだと

期待と希望の色をかざして 何度も確かめる

私は此処にいる


戦い続けて負け続けて でも勝利の味も知っている

昨日の私はとても潔く 今日の私に道を譲った

何もかもが新しく 私らしくあればいい


悔恨は進歩の糧 何一つ無駄にならず 

だからこそ怖い今日の一日

昨日の憎悪は 聳え立つ書棚に収まり

私の怒りは 溶けては消えず

走り書かれた文字のマグマは

明日への渇きで 流れていくより 他は無い


私は決して 死んだりしない

負けたままで 終わりはしない

この世の何ひとつ 損なえはしない

私がそれを 許さない限り

MY EDEN IS HERE…

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アナァキズムは結婚式場で ミーシャ @rus

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