短い話の中に、人間の憎悪、恋慕、哀愁をたっぷりと含ませた良作です。ガスパールと名もなき水の妖の想いを軸に、人間の思惑が交錯していきます。その様子は、あたかも滝が織りなす白い文様のようにも見えます。情景描写も、よりいっそう物語を引き立て、効果的に世界観を読者の前に示してくれます。最後に一言。「水の蒼さに哀しみを捧ぐ」
異種族との交流、隠された事実、淡く切ない想い、対立する種族――自分の好きな要素がいくつも入っていて、ツボでした。こういう切ない短編は書けない人間なので、書ける技量が羨ましいです。
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