アンニュイな時代を思い出す。

 おもしろかったです。
 しっとりした文章で、少年とも青年とも言えぬ微妙な時期の心情が表現されていて、引っ張り込まれました。気づいてたら、終章まで来ていました。
 前に踏み出さなければならないとわかっているし、絶対に踏み出すのですが、そこへ至るまでの一瞬、足をあげるまでのわずかな時間は、どこか微妙で背徳感があって、できることなら、その場に留まっていたと思う何かがあります。それが描かれていたのは、素直にすごいと思いました。
 自分にもそんな時代があったのを思い出しました。
 楽しませていただきました。

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