完璧なタイミングで切り取られた、みひらきサイズの情景たち

今日は「確かなもの」だけを摂取しよう、と決めた。
サイフォン式の珈琲が飲める、ちょっと上等の喫茶店に来た。
信用の置けるクオリティの紙の書籍が手元になかったから、
大事に取っておいた本作をタブレットに呼び出すことにした。

本作のタイトルに冠された「みひらき」とは、
「文庫本の見開きサイズの掌編」という意味である。
コントのようなアクの強いショートショートではない。
といってオチのない話ではなく、各話、ビシリと締めてある。

簡潔な文章が完璧なタイミングで情景を切り取る。
さまざまなテイストの掌編が取り揃えてあるが、
どの話もカラリと乾いた気風が感じられるのが好みだ。
テンポよく読み進めてあっという間に最終話、寂しい。

どうにも最近、疲れすぎて眠れない。
マイペースとハイペースが混同してそろそろ限界だから、
「確かなもの」を摂取して、休み方を思い出したい。
――こんなコンディションの貴方には、ぜひ。

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