逆上がり
「逆上がりができたんだって」
「へぇ。すごいねぇ」
「なぁに、その気のない返事」
「私逆上がりなんてしたことない」
「すっごい練習したのよ、フミヤくん」
「私、練習なんてしなかった」
「少しくらい頑張れば良かったのに」
「わからなかったの。私の人生に逆上がりなんていらないのに、どうして出来なきゃならないのか疑問で。練習する意味が今でもわからない」
「でもね。出来ないことでも頑張れば出来るようになるんだ、ってことを体で学んでいけるでしょ。一つの経験よ」
「私、必要なことには努力する。どんなに難しくても投げ出さないよ」
「じゃあ逆上がりくらいしなくていいわよ」
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