ショートショート

アルバム




 我が家にも

 二人目のアイドルが生まれ


 その可愛い姿を

 写真に残そうと

 奮闘する私に


 もう

 一人で何でも

 出来るようになったはずの


『お姉ちゃん』が邪魔をする。



 引っ張られて

 映像がぶれてしまったり


 フレームの中に

 無理無理に入り込んでくる

 お姉ちゃんの

 鼻の穴の写真ばかり、


 私はため息をつきながら

 データから消去した。



 それでもなお

 写真を撮ろうとしていると


 アレしてコレしてと

 駄々をこね、


 しまいには

 インスタントコーヒーの粉を

 部屋に撒き散らしてしまった。



 今まで上の子は

 親の愛情を独り占めが

 当たり前だったから


 無視されることが

 我慢出来ないのかもしれない。



 とはいえ、


 上の子に手を焼いて

 写真も残せないのでは


 赤ちゃんがあまりに不憫。



「そうだ、」



 掃除を終えた私は

 お姉ちゃんを呼んだ。



「お姉ちゃんが撮してみない?」



 今まで

 壊したら困るからと

 触ることも禁止だった


 パパの大事なデジカメを


 お姉ちゃんにチラつかすと

 途端に目を輝かす。



「ここを見ながら、このボタンを押すのよ」



 喜んで

 パシャパシャ撮す写真は


 時々

 赤ちゃんの顔が半分になったり


 お姉ちゃんの指が

 写ったりしたけれど、


 お姉ちゃんは始終ご機嫌。



 お姉ちゃんばかりだった

 我が家のアルバムには

 パパやママの写真も増えて


 お姉ちゃんと赤ちゃんの

 ツーショットも

 撮らせてもらえるようになった。



 結果として

 デジカメが三台


 不慮の事故で

 お亡くなりになったけれど


 家族の笑顔には

 かえれないわよね。



 パパも少し

 大人になりなさい?



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