フリードリヒくん



「こないだ、フリードリヒて人が書いた本を読んだの」


「へー。フリードリヒ?」


「なかなかに気の合う人だった。満足満足。あ、満足は最も贅沢なんだって。知ってた?」


「不満だらけで欲深い奴のほうがよっぽど贅沢してるんだがな」


「満足でえられるものの方が上質だからだよきっと」


「あー。なるほど。量じゃなくて質がね」


「『利口であれ。そして、心に喜びを抱け。できるならば、賢明でもあれ。そして心には、いつも喜びを抱いているように。』」


「二回言った!大事だから二回言ったの?!」


「『これが人生で最もたいせつなことなのだから。』」


「やっぱり大事だから二回言ったんだ!フリードリヒ!」


「あとはねー、『楽しまないというのはよくないことだ。つらいことからいったん目をそむけてでも、今をちゃんと楽しむべきだ。 たとえば、家庭の中に楽しまない人がたった一人いるだけで、誰かが鬱々としているだけで、家庭はどんよりと暗く不快な場所になってしまう。もちろん、グループや組織においても同じようになるものだ。 できるだけ幸福に生きよう。そのためにも、とりあえず今は楽しもう。素直に笑い、この瞬間を全身で楽しんでおこう。』とか。言ってるわりに『~のためはやめよう。』とか言ってて面白いよ☆」


「楽しみ方おかしいだろ!フリードリヒに同情するぞ」


「またゆっくり読みたいから貸してよ」


「オレの本かよ!てかフリードリヒってニーチェかよ!!」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る