アンドロイドは『鏡の国』の夢を見るか

作品を読みながら、「上手いなあ…」と思わず唸ってしまった。否応なく、物語の世界に引き込まれしまう。尋常でない世界を、日常の出来事のように静かに語りかけていくストーリー性が素晴らしい。

脳以外、本物のからだを失ってしまった機械仕掛けの青年シスル。

終末に向かう、高度な文明と衰退する人間性を持ち合わせる不思議な世界観。

謎めいた登場人物達。

そして、それを淡々と見つめる主人公のシスル。殺しさえ請け負う「なんでも屋」でありながら、趣味は読書、というのがまた良い味を出している。とっても、私好み。

ロバート・シルヴァーバーグやフィリップ・K・ディックの作品を彷彿させる世界観は退廃的でありながら魅力的。SFファンだけでなく、ファンタジーとの融合が見られる作品として、多くの方に読んで頂きたい。

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