人類が滅びた後の世界で人類を探している自動機械についての掌編。普通、こういった自動機械の行動は悲劇として描かれることが多いけれど、この作品では必ずしもそうではない。「キューブ」は、確かに自分の目的の無為さを自覚している。けれど自身のユニークさを淡々と記すばかりで、無為さを嘆くことはしない。これが、人間のメタファーになっている。現代人は無為を生きている。死んで無になるまでただただ生きるしかない、遺伝子の運び屋でしかないことを自覚していて、その点で「キューブ」と大差ない。「キューブ」の人生には救いが与えられる。我々の人生にも救いがある。川辺に宿泊施設を作るべきである。