なんだかとんでもないものを読んでしまいましたよ自分は。
閲覧注意と言われれば、覗いてみたくなるのが人情というもの。しかし各話の長さを鑑みまして、GWになるのを待って一気読みした次第なのですが、いやはやもっと早く読んでいればと後悔すること頻りであります。
それにしても、不思議な小説です。
ホラーな導入部から一転、バンド活動に明け暮れる主人公の日常を、少しずつ侵食していく謎の美少女。
怪異の扉が開かれ、すわゴースト・バスターの幕開けか!? と思いきや、並行して描かれるのはギタリスト脱退によるバンド存続の危機。
そう、ドラマーにしてバンマスでもある主人公の彼は、何よりも新ギタリストが必要なのです。
一緒に幽霊を捕まえたい美少女と、その美少女をバンドメンバーに引き入れたい主人公。
このとぼけたすれ違いの妙味が、本当に面白いのです。
幼馴染との板挟みなど、恋愛未満のアオハル模様もたっぷり。
そしてなんといっても、音楽描写の的確さですよ! 商業作品の中でも、相当怪しい記述を見かけることはままあるのですが、本作は全くリアルな内容で文句なしです。逆リハとかめっちゃ懐かしかったです(その昔軽音サークルにいましたので……)。
恐怖を求めればホラーに、
笑いを求めればコメディに、
音楽を求めればロックに、
青春を求めればアオハルに、
そしてタマサブを求めればお兄様に……!
読む者の心を映す、鏡のような小説です。
いやぁ、こういう作品を待ってました(筆者様の過去作を引っ張り出しといて何ですが…
詳しい筋書きは他の方が愛情を込めて書いていらっしゃるので改めては書きません。
まずはホラーで始まってはいるものの、一夏の冒険譚的なノリです。
しかも最高に後味の良いやつです。
私はファンタジーが好きで異世界なにがしも悪くはないのですが、本来物語というのは既に異世界なのです。
実在する現代のN市を舞台に描かれており、ファンタジーのフの字も匂わせないのに、不可思議なギミック(本物なのか偽物なのかは分からずじまい)と奇人変人の類いのキャラクターが登場し、良い意味でクセのない主人公の少年をそちら側に引き摺り込まてゆく様に胸躍らされ、どんどん異世界(物語)に引き込まれます。
1話読んだから惰性で…ではなく、全5話を空想を巡らせながら貪り喰らってしまう、そんな面白さがあります。
少食な私が喰べ飽きている異能と呼べるものも、天才・秀才・よく見ると可愛い・ハーフに見える美少女・富豪、等が押し付けがましく絶妙な配分で素材に練りこまれているぐらいです。
物語後半には、ほのかな恋心というスパイスで味変されていて、ひょっとするとなんて事を考えながらいい夢を見れる、明日という未来に希望や活力を与えてくれる青春のお話でありました。
ラストシーンは唯々眩しくて、涙腺を緩ませながら拝読させて頂きました。
素晴らしい作品を残して頂きありがとうございます。
初っ端から始まる『閲覧注意』展開!
繰り広げられた惨劇が密かに伝えられる都市伝説。
これは思った以上のホラーかも……、と恐る恐る読み進めましたけれど、プロローグが終わった後は最後まで笑わせて頂きました。
登場人物の高校生三人とお兄様&お姉さま、みんな楽しいキャラばかりで作者様の作り出すキャラ造形に頭が下がりました。
自分が特に面白かったと思うキャラは「亜津美お嬢様&お兄様」のコンビでして、キャラ特性でいうと『ボケ✖ボケ=無限大』という計り知れない破壊力で迫って来ます。そんな人達に負けじと馴染んでいく主人公のマッキーを尊敬しました(笑)
自分の感想はさておき、最後のライブシーンやギターなどの楽器への細かいこだわり、そんなところにも作者様の創作にかかわる意欲を感じました。
解散の危機に瀕した高校生バンドはどうなるのか!?
「亜津美お嬢様&お兄様」は何を目的にマッキーをティームに加えたのか?
本当に楽しい物語です、みなさんもゴーストバスター(とバンド活動)に参加してみませんか?
「努力」「友情」「勝利」方程式の見本です。その上、オカルト要素やホラー要素が表現され、笑わせされる処はしっかりとコメディが含まれています。簡単に言えば完璧です。勿論、恋愛のような雰囲気も醸し出される展開も忘れてはいません。
バンド活動をしている主人公を通じて、音楽の要素も取り入れている上に、オカルト現象に対し科学的なアプローチも入っています。
この多彩な要素を読みやすい文章で書かれているだけではなく、物語の構成やバランスも絶妙にブレンドされていました。物語が夏休みが始まる一日前からスタートしたり、登場人物の性格や言動が計算されつくした作品です。
主人公を含め、登場人物の心情が徐々に変化していくのもポイントです。心の成長や理解、信頼などの重要な感情が丁寧に描かれており、三人称で表現されている為、登場人物達の心境変化が読者の心を打つでしょう。
どの部分をとっても面白いとしか表現できない作品でした。
作者さま。こんなにも楽しい時間、ありがとうございました。
冒頭――ホラーテイスト漂う雰囲気の中、都市伝説の『山賊峠の鉈女』による凄惨な描写がつづられる。読者を引き込む力は十分。期待値MAXのまま読み進めると……。
主人公である、群青牧人。彼はギターのメンバーにと超絶美形の葉隠里亜津美を誘うのだが、この葉隠里亜津美が実はこの物語のキーであって、中心人物と言っても過言ではないのです。
そう、彼女はギターが得意であると同時に、『幽霊を採集』するという特異な特技があったのだ。
成り行き上、その亜津美のいるティームに入ることになった牧人君。当然、幽霊の捕縛を手伝うことにになるのだが、さて彼の運命やいかに。え? バンドはどうするの――!?
バンド活動と幽霊採取という二つのストーリーがうまく融合した本作。抱き合わせではないとてもお得なセットです。そして甲乙つけがたいダブルヒロインというのも、うりの一つとなっております。皆さまも是非、ご一読を(⌒∇⌒)