ホラーでコメディ、なおかつロック。青春小説の鬼っ子登場……!

なんだかとんでもないものを読んでしまいましたよ自分は。
閲覧注意と言われれば、覗いてみたくなるのが人情というもの。しかし各話の長さを鑑みまして、GWになるのを待って一気読みした次第なのですが、いやはやもっと早く読んでいればと後悔すること頻りであります。

それにしても、不思議な小説です。

ホラーな導入部から一転、バンド活動に明け暮れる主人公の日常を、少しずつ侵食していく謎の美少女。
怪異の扉が開かれ、すわゴースト・バスターの幕開けか!? と思いきや、並行して描かれるのはギタリスト脱退によるバンド存続の危機。
そう、ドラマーにしてバンマスでもある主人公の彼は、何よりも新ギタリストが必要なのです。
一緒に幽霊を捕まえたい美少女と、その美少女をバンドメンバーに引き入れたい主人公。
このとぼけたすれ違いの妙味が、本当に面白いのです。
幼馴染との板挟みなど、恋愛未満のアオハル模様もたっぷり。
そしてなんといっても、音楽描写の的確さですよ! 商業作品の中でも、相当怪しい記述を見かけることはままあるのですが、本作は全くリアルな内容で文句なしです。逆リハとかめっちゃ懐かしかったです(その昔軽音サークルにいましたので……)。

恐怖を求めればホラーに、
笑いを求めればコメディに、
音楽を求めればロックに、
青春を求めればアオハルに、
そしてタマサブを求めればお兄様に……!

読む者の心を映す、鏡のような小説です。

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