次世代の娯楽小説はここから始まる

 ネット小説で、大人(というより、おっさんですが)の再読に堪える小説に出会えるとは望外の喜びである。
 手に汗握るチャンバラ、多彩な登場人物、一話ごとに趣の異なる展開など、賞賛すべき点は多数。一見、重厚で古風な語り口に見えながら、実はストレスなく読み進められる文章も良い。また、架空の都市を舞台にしながら、「江戸情緒」ならぬ「レン情緒」を感じさせるあたり、作者の実力であろう。久しぶりに、心から「ワクワク」できる小説に出会えたと思う。
 「ライトノベル」を卒業して、次に何を読もうかと迷っている中高生の諸君には、ぜひ『剣雄綺譚』を手にとってほしいと思う。きっと、古いようで新しい娯楽小説の世界の虜になることは請け合いである。
 さらには、書店の新刊棚を毎月埋め尽くす時代小説の読者であるおっさんたちにも勧めたい(まあ、こんなところを見てるはずないか)。あなたがたが読むべき次の小説は、意外なところに転がっているのかもよ。

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