第3話 ロールキャベツ君のかけっこ

まっ青な空。

白い雲。

まぶしいけど柔らかい、お日さまの光。



ことこと幼稚園の運動会は、もうすぐです。

そよ風が吹くと、きんもくせいのいい香りが、漂ってきます。



ロールキャベツ君は、かけっこが大好きです。

でも、負けるのは大嫌いなのです。


前の幼稚園では、運動会が近づいたころ、

隣の家のおにいちゃんに特訓してもらって、

一等賞をとりました。


でも、ことこと幼稚園に来てからは、

そのおにいちゃんと離れてしまったので、

ロールキャベツ君は、かけっこの練習を

していなかったのです。



今度の運動会で、一等賞とれるかなぁ。



ロールキャベツ君は、ちょっと心配になりました。

かけっこの練習をしていないし、

頭の回転の速い、のり まきすけくんが、

かけっこも速いからです。



ある日園庭で、のり まきすけくんが

鬼ごっこをしているのを見て、


(まきすけくんは、かけっこが速いなぁ)


と、ロールキャベツ君は、ため息をつきました。


しょんぼりしながら、一人で砂場に行こうとすると、

「ロ―ルキャベツくーん!」

と、呼ぶ声が聞こえました。


ふり向くと、のり まきすけくんが、

ロールキャベツ君の方を見ながら、手をふっています。


「いっしょに、鬼ごっこしようよー!」


まきすけくんと一緒に鬼ごっこをしていた、

ごぼう まきこちゃんと、

はるま きみちゃんと、

ちょこ くろわさんも、

手をふっています。


「早くおいでよー! 

早く来ないと、鬼にしちゃうよー!」

ロールキャベツ君は、びっくりして

みんなのところにかけつけました。

そのとき、

(あれ、ぼく、前より早く走れるようになったかもしれない)

と、ロールキャベツ君は思いました。


そうです。


ロールキャベツ君は、前の幼稚園の運動会のときよりも、

体が大きくなって、

息もたくさん吸えるようになった分、

速く走れるようになっていたのです。


(そうか、こうやって毎日、みんなと鬼ごっこしてれば、

もっともっと速く走れるようになるかもしれないぞ!)



その日、ロールキャベツ君は、

一度も鬼になりませんでしたよ!





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ロールキャベツ君 左右田りおん @soudarionn

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