私はこの小説をほんの数頁読んだ段階で気づいてしまった。私はこの小説に恋してしまったのだ。速読家の私が、誤字脱字を見つけられるような速度で一文一文を大事に読んだ。
途中、何度も胸が熱くなる場面があって、ティッシュの箱を手元に置きながら。
登場人物の全ては大人の魅力に溢れていて、ヒロインはかつて自分がどこかへ置き忘れてきた純真さで周りを動かしていた。息をつく間も無く事件が発生し、精緻で美しい文章がストーリーを紡いでいく。そしてラストは……。
なぜこれ程までに完成度の高い小説が書籍化もされずに燻っているのか。もしかしたら過去にそういう話があったのかも知れないし、時代の流れに合わないの一言で納得しているのか、正直その辺りのところは分からない。
読み終わってひとしきり感動の余韻を味わったあと、私に去来する感情は怒りと失望だった。
これでもカクヨムはSFに強いだなどと言えるのだろうか。知らずうちに私の感じ方が特殊なマイノリティに属してしまっているので無ければ、これは疑う余地のない傑作であり、これが正しく評価されない小説サイトに、いったいどれだけの価値があると言うのか。
少し考えてみれば、この苛立ちは作中のヒロインが社会に対して、そして愛する人に対して感じた憤りに近いのかも知れない。彼女の愛すべき純真さに、私の心の中の何かが感化されているのだとしたら、彼女を代弁する者としてこう言わなければならない。
カクヨムのユーザー達が、いつかこの小説を想い返してくれるまで私はいつまででも待ち続けたい。
18章まで読んだところでレビューです。
懐かしい雰囲気ではあるのですが、理論とか技術的なものとかはもちろん今のSFです。ロボット3原則をテーマにして、ロボットの検視官と彼のところにやってきた人間と見分けのつかないロボットが、ミステリー要素満載で物語を強力に進めていきます。
個人的には完璧だと思います。SFのもつ雰囲気、ミステリーの謎解き、二人の生活で展開していくドラマ。そして落ち着いていながらとても読みやすい文章とストーリー展開。SFが苦手という人でもすんなりと読める作品です。
とにかくたくさんの人に読んでいただきたい作品だと思いました。
まず、言いたいのがこの物語が非常に完成された小説だということです。市販で販売されていても遜色ない、そんな物語です。
ロボットを嫌い、あくまでロボットを機械として扱うドクターシュルツ。
ヒューマノイドとして、人間と変わらぬ……いやそれ以上に人間らしい仕草を見せるマリア。
頑なにマリアの言動、仕草、気持ちを否定するシュルツの心が今後どのように変わって行くのか。また、マリアの心をシュルツが認める日は来るのか。
読んで絶対に損はない凄く面白いお話だと思います。
是非皆様一読してみてはいかがでしょう?
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以下感想です。
マリアの人間のような心の動きが、仕草が人間らしくあればあるほど切ない気持ちになるのはなんででしょうね。
恐らく、私もどこかでロボットに気持ちは持てっこない、そう思っているからこそマリアがどこか滑稽で悲しく映ってしまう……とにかく、色々考えされられる物語でした。