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「故地奇譚」20-8.地図

地図;
民間などで作られた地図は出回っていますが、技術的な難があるのと、詳細な地図を作ること自体が警戒の対象となることから、精度が落ちます。せいぜい都市名と街道名、必要日数ぐらい。
というわけで、何よりの問題は地図を要求したことではなく、地形や方角を含めた(比較的)正確な地図を持ち、かつそれを秘する立場の人間に、それを見せろと何の気なしに口にしたことです。
常識や感覚の違い、つまり『異物』感が露わになってしまった、という。

いくら隠そうとしてもこういう価値観の違いは、そもそも認識できていないことが多いので、今回のように隠しきれないことが出てきます。
付き合いが長くなればなるほどリスクは増すってことで、他にも感じ始めている人がちょいちょいいます。見かけたらにやっとしてやってください。

危険な状況に一緒にいるとそのドキドキを恋愛感情と錯覚;
心理学実験を基に提唱された吊り橋理論です。吊り橋効果というほうが有名かも。

で、思い出す――。
学生の頃、夜遅く帰る際、ゴミ捨て場にあった畳だと思っていたものがごそりと動きました。
うん、巨大イノシシ。
ご存じの方はご存じ、街中に出没する野生生物ほどヤバいものはない。
まずい、こっち見てる、ととりあえず停止する。
逃げるか、戦うかでアドレナリンが出始めたのか、心臓がバクバク言い出す。

その時、一緒にいた先輩がスッと前に出……
「にくぅううううううう…っ!! 牡丹鍋ええええええ」
と叫んで、イノシシを追い立てていきました。

仕送りを飲みつくして、ここ数日まともに食べてなかったのは知ってる。
徹夜続きでハイテンションだったのも知ってる。
助けられたのも確か。
――が、あれは間違っても恋にはならない。

事実、吊り橋効果が発生するためには色々条件があるって、実験で確かめられてるらしいよ?

…うん、賢そうに見えてもおかしくない話題を扱っているのに、なぜか毎回アホな話になるのが謎。
まあ、そっちが実態だしなってことで、おやすみなさい&良い夜を!
明日はそろそろ晴れるといいなあ。

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