完結が見えてくると楽しくなってきます。短編長編拘らず、完結目前になると読者同様に作者もワクワクしてくるものです。話の粗さが目立っていたとしても、修正作業が残っていたとしても、ひとまずの区切りをつけられるので、一時の快楽に心が満たされます。語弊のある表現ですが。
大団円を迎えるとそれは顕著になります。一時期は報われないバッドエンドが大好きでしたが、やはり主人公が報われ、世界全体が幸せになる物語は読後感が良く、何度でも読み返したくなります。ゲームでもそれは同様で、終盤の展開だけを繰り返すプレイしたくなります。個人的にはFF9が大団円の物語として一番最初に思いつきます。寧ろ、それ以上の大団円を想像できないくらいに清々しい気分になったことを憶えています。幼少期にプレイしたわけではないため、思い出補正というわけでもないのがより印象を強くしています。
私は物語を書く時に読後感の良い大団円を目指しています。道中に胸糞悪い展開があったとしたら、それはかつて好んでいたバッドエンドの片鱗だと思われます。「大団円は好きだけどバッドエンドも好き」という矛盾に孕んだ嗜好を小説に落とし込むと、そうなります。大体の作品がそうなっていると思います。
だからこそ、大団円となる完結間近になると楽しくなってくるのです。幸せな気分と言ったほうが適切でしょう。そういう意味では、私は執筆活動が何よりも好きで幸せに感じるのでしょう。