「お前たちは、地上に上がらないのか」
アル所長は、二人の研究員に問いかけた。
ひとりはシオン。ここの最年少者だ。
もう一人の名は、サクラ。最年長の女性だ。
「はい。この子が心配ですしね」
彼女は、シオンを一人でおいていけないと思ったらしい。
「それじゃ、お留守番よろしくな」
そう言うと、所長とその他研究員たちはエレベーターに乗り込んだ。所長の胸元でエレベーターのマスターキーが揺れる。これさえあれば、立ち入り禁止の階層にも行くことができるのだ。
残された二人は、いつもと同じように仕事をした。ただし、いつもより長く「向こう」に潜った。所長には内緒である。