• 現代ドラマ
  • 異世界ファンタジー

 ポジティブに生きるために、親の死について真剣に考える。

 十年ほど前、祖父が他界した時、僕たちは実家で葬儀をあげました。
 僕が小学生の頃から父が脳梗塞で数回入院を繰り返した結果後遺症で葬儀場への移動が困難だったとかそういう理由もあったけど、一番の理由はやっぱりお金。母はお金に余裕なかったし、僕も貯金がありませんでした。
 ので、安く済ませる為に湯灌も自分らでやりました。
 でも、それでも人が亡くなるとかなりのお金がかかるようで、お坊さんを家に呼んだのも含めて三十万くらいかかりました。

 で、現在。
 ぼちぼちお客さんも戻って来て忙しい日々が続いてありがたい事なんすけど、それでも。

 数年前の地震で地方から来てくれていたお客さんが激減したこと(家、てか町がめちゃくちゃになったので、遠いウチの店に来るのが難しくなったのでしょう)、それに伴いアシスタントも少なくなったこと、客足が戻り切る前にコロナがあったことで、僕の貯金は尽きました。

 今からまた貯める。
 それは可能です。
 ですが、五年前と同じ売り上げを出す為に、五年前の二倍くらいの労力でお仕事してる現状、両親に何か遭った場合でも、お客さんの時間を優先しなければならない現状(両親が入院とかした場合、そのお金が年金の額を超えてしまうかもしれないから更に稼がなくてはならない)を考えて、九月を最後に美容師を辞める事となりました。

 両親が他界したとして、お金の事でその時の気持ちに水を差したくない。時間の事で仕事を恨みたくない(今でも週一度の休みが潰れたりしてるもんで)と考えてます。

 という事で今、絶賛就活の真っ最中。
 色んな人達から「ウチで働きなよ」と言って貰えてるので、かなり恵まれてます。
 最近は休みの日に「お試し労働」をしてたりします。直近だと遺品整理とか明日は土木作業だったりとか。
 なんでそんな事してるのかというと、以前知り合いの社長さんに「美容師さんってその場では調子良いこと言うけどなんか裏切りそう」とか言われたので、働きぶりをアピールするためだったりします。僕はこれだけ一所懸命に働きます、的な。笑

 んで、せっかく声をかけて貰ってますが、その中から一つを選ばなくてはならない為、結構気が重かったりします。何故ならその一つ以外の人達を結局、裏切る事になりますので。

 でも、そろそろ決めようかと思います。
 それなりに真剣なので、皆さんわかってくれる事でしょう。

 現実は甘くはないですが、全く優しくないわけでもない。未来をネガティブから遠ざけポジティブにできるのは、自分しかいない。
 だからこそ、僕はその優しさに応えたいとか最近、考えるわけです。

 僕に選ばれなかった事業者の方々、僕がいなくなる事で更に大変になるスタッフ達、その人達みんなにいつか、恩返しできると良いなあ、と思う日々。

8件のコメント

  • 年を重ねると、若い頃とは異なった悩みが出来ますよね。
    異業種であれ、お客さんから声をかけてもらえるのは、今まで頑張ってきたY.Tさんの努力と人柄が作った人脈でしょう。
    お断りしたとしても「次の仕事が見つかって良かった!」と、安心してくれるんじゃないかしら?
    きっと、皆さん、心配してお声をかけてくれたのでしょうしね。

    新しい仕事に馴染むまで、何かと大変でしょう。無理しすぎず、ご自愛くださいね(*^^*)
  • 時間のことで仕事を恨みたくない、とか、裏切ることになる、とか、そういうところに人の良さが出てますね。
    そして、きっとY.Tさんの人の良さが、色々な人に声をかけてもらえる事につながっているのですよ。
    と言おうと思っていたら、すでに言われていましたが、まあ、そういうことです。
    縁って、大切にすべきものの一つですね。

    環境が変わる、また今も色々と掛け持ち? をしているということで、体調には気をつけてくださいね。
  • こんにちは!
    ……ポジティブに生きるために。
    なるほど
    私も就活?中です。フルタイム昇格に向けて
    まずはこどもの進学のために
    うーん、コロナがやっぱりボーナス分をキャンセルしちゃうんですよね。
    ファイト!
  •  日埜和さん、ありがとうございます。
     人間、歳を重ねると時間が加速するといいますが、アレ、新たに覚える事が少なくなってくからだそうです。
     ので、これから僕の時間はまた、ますます濃密になることでしょう。


     社会というコミュニティを形成する為に必要不可欠な生き物くん。
     ありがとうございます。
     僕の人柄、かどうかはわかりませんが、ここ数年、いわゆる「他人」と呼ばれる人達に支えて貰って生きながらえています。いつか恩を返せる日が来ると良いのですが。
     ちなみに掛け持ちではないです。お金貰っちゃうと次の勤め先に迷惑かけちゃいそうなんで。主に年末調整的なアレで。


     柚子さん。ありがとうございます。
     パートさんはパートさんで大変ですよね。僕には想像の及ばない苦労がありそうですが頑張って下さい。
  • Yっち

    選ばなかった職場を「裏切った」と表現するのはどうかな。
    判ってるとは思うけどそういう捉え方は自分の傷になるよ?
    単に「今は縁が無かった」だけだとも言えるので。

    大したことは出来ないけど、何かあれば手ぐらい貸せるよ、と言うのがベター。

    歳とればしがらみとか義理が出来るけど、義理だけで仕事決めると
    後がきついからお勧めしない。
    究極、義理<自分というのが人間だし、それは全ての人が
    認識してること。
    Yっちに幸あらんことを。
  •  えーちゃん🤨
     ありがとうございます。
     これからの自分への戒めとして、その社長さんの言葉を引用したんすけど、今の僕と似たような境遇の人が読んだらちょっと後ろ暗い気持ちになっちゃうかもですね。
     それでも、相手の誠意に対する自分の選択を自覚したいので、その気持ちだけは持ち続けたいです。
  •  こんな世の中になってしまい、某肺炎ウイルスの検査業務が処理仕切れない程押し寄せる反面、輸入に頼らざるを得ない資材や試薬が滞り、あちこちに頭を下げて何とかその日その日の露命を繋いでいる状態になっている私は、師匠に何かを言える立場では無いかも知れません。

     また、私が言うまでもなく、今現在も、これからも師匠が楽しい日々をお過ごしである事を、固く信じております。

     ただ、せめて遠い空の下ですが、師匠に明るく開けた未来が訪れる事を心から祈らせて下さい。
  •  今路さん。
     ありがとうございます。
     まあ上に書いた通り、コロナだけのせいでもないのです。
     サービス業って集客、接客、作業を全部自分でやらなきゃならない職業なのですが、少子高齢化により日本人の人口が減っていく中での「集客」が困難になる事は予測してました。
     地震やコロナとか関係なく、病気などで来れなくなったお客さんもかなりいましたので。
     僕は他の職業では若い部類に入りますが、美容師としてはもう若手ではありません。
     なので、若いお客さんは若い美容師さんに任せる、それが一番なのかも知れません。
     ただ、少し心配なのは、技術職が既に「誰でもできる仕事ではない」ことですね。
     技術を学ぶ時間が減る一方で、お客さんが求める技術に対するハードルは年々増してます。だからこそ「カンタンな髪型を流行らせる流れ」が生まれてますが、それでも個別にそれぞれのお客さんに対応するには、正しいインテリジェンスと作業の精度による対応力が求められます。
     
     今僕は残ったスタッフに「美容とはどういう仕事か」「髪型とはどういう商品なのか」を伝えるために尽力している次第です。
コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する