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心のエネルギー

もう五月病とやらはみなさん乗り越えられたのでしょうか? 学校でも職場でもそうですけど環境の変化への対応って時間がかかりますし、そんなときの心の負担とかダメージって、遅れて身体や気持ちに現れてきますよね(卯月調べ)。

だいたいストレスなどと言うものは対人間において生じるものなので、人間に関わらなければそんな苦労もしなくてよいのですけど、この社会に組み込まれている以上それも難しい。かつて「ひきこもり」さんに憧れたこともあるのですが、あれってぶっちゃけお家が裕福じゃないと成立しないじゃないですか……。中流以下家庭でひきこもって家族を道連れなんて無理。あんなもの甘えだなんて言うと各種方面から叱られそうなのでこれ以上はやめておきます。

若い頃、大阪時代に浮浪者(ヨゴレ)のおっちゃんと仲良くなったことがあったんですけど、彼らは彼らのコミュニティでの人間関係があるようで、その方面も自分には無いなと思ったこともありましたな。あのおっちゃん、まだ生きてるんだろうか。

もしも宝くじで数億円当たったりなんてしたら、きっと人里離れたところで隠遁生活を(インターネット環境つきでギリ、ネット通販の配達が行われるところ限定)したいな。宝くじ絶対買わないマンなのでそれも無理だけど。孤独が苦にならないので、単独での有人火星探査にも耐えうる自信あり(能力は別)。

えっと、人づきあいなんですよね、煩わしいのは。卯月は長いことちゃんと社会人してますから対外的には感じの良いおっさんとして振る舞ってきました。民間の教育関連が長かったので「陰キャ」要素は営業的にマイナスです。そう、余所行きの別人格(陽キャモード)で立ち回ってきました。

役者さんみたいにそのキャラを演じ続ければそんな人間になれるかも理論、を信じてやってみたのですけど。演技力ばかり磨かれて、本質の変化は無かったです。辛い時なんかに表情だけでも笑顔にすると、脳が騙されて外部から内面心理に影響するみたいなことの応用だったんですが、思うより人間の心は複雑なようでした。

基本無理してるのでひとりになった時の反動が大きい。毎日、心がくたくたでした。

天性の陽キャの方っているじゃないですか、いつも声もデカいしゲラゲラ笑って楽しそうな人。羨ましいというより、どうして疲れないのかが不思議でした。河合隼雄の本にも出てきますけど「人間は、身体的なエネルギーだけではなく、心のエネルギーというものがある」らしい。卯月はその心のエネルギーなるものが少なめだと自覚していたので、極力省エネスタイルで生きてきました。必要な場で全力で使って、対人の必要がなければ完全にOFFにするみたいな。

河合先生の本ではその心のエネルギー量に生まれつきの差があるかどうかはボカシてましたね。多分そういうのあると思います。異世界ファンタジーの魔力量みたいに手を触れると測定器の水晶玉が粉々になっちゃうようなバケモノクラスが、実社会にはゴロゴロしている。卯月が触っても「ん? 反応がうっすいですね~。はい、次の方どうぞー」みたいな。

一応異世界転生モノみたいに克服のヒント的なものを河合隼雄は書いてました。いま、引っ張り出して確認したので間違いないです。「こころの処方箋」(河合隼雄・新潮社1992年。これはこの世界での「魔導書」なのかもしれません。

囲碁なんかの趣味があるとして、それに使用される心のエネルギーを節約して仕事の方にまわして上手くいくだろうか。逆に運動もしたことがないのにたまたま誘われたテニスに夢中になったからといって、仕事の能率が悪くなるだろうか。

「もちろん、ものごとには限度ということがあるから、趣味に力を入れれば入れるほど、仕事もよく出来る、などと簡単には言えないが、ともかく、エネルギーの消耗を片方で押さえると、片方で多くなる、というような単純計算が成立しないことは了解されるであろう。片方でエネルギーを費やすことが、かえって他の方に用いられるエネルギーの量も増加させる、というようなことさえある」

これっていうのは人間は「もの」でも「機械」でもない、生きものだからなんだと河合先生は言います。そこで大事なことが次の一文にあります。

「人間の心のエネルギーは、多くの『鉱脈』のなかに埋もれていて、新しい鉱脈を掘り当てると、これまでとは異なるエネルギーが供給されてくるようである。このような新しい鉱脈を掘り当てることなく『手持ち』のエネルギーだけに頼ろうとするときは、確かに、それを何かに使用すると、その分だけどこかで節約しなければならない、という感じになるようである」

最後に、心のエネルギーの出し惜しみは、結果的に損につながることが多いものだとも言っています。

卯月にとってはこの「書く」という行為がその『鉱脈』にあたるようです。心のエネルギーをずいぶん使っているはずですけど、いまのところ枯渇する気もしないですね。みなさんにとっての「書く」「読む」もそうなのかなと思ってみた卯月でした。

最後にここのところ暑くなってきましたので、夏を思い出そうという元気になる曲をオススメして。

Frogmonsterの『Remember Our Summer』です。2019年の曲でSNSで人気になったとか。サビが癖になります。






2件のコメント

  • 自分も人付き合いで疲弊するのに笑顔振りまいて頭下げる仕事してきました。
    本来の自分であれば乗り切れないからこそペルソナを「演じる」ことで乗り切る。でもそれって本当にエネルギーを消費しますよね。本質は変わらないのに、自分がどこにいるのかわからなくなる。
    エネルギーが無限に見える陽の極みみたいな人でも、実はすごい闇を抱えてるみたいな事もあったりします。
    抑えるだけの人もいれば、抑えようとしたら爆発する人もいたり。

    ある一面でエネルギーを消費したら、別の一面で「充填」が必要で、それが別のキャラであったり、趣味であったりするのかなとか思ったりします。
  • まだあるんですね、五月病。コロコロより怖いかも。
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