いぬきつねこ

僕は依子さんのことが好きだった。 大学時代に同じサークルだった依子さんに、サークルメンバー全員が惚れていたと思う。 あの頃の依子さんが、僕は好きだった。

家も、祠みたいなものかもしれないね。

山奥の密やかな村に、今日も配信者がやってくる。それが罠だとも知らず。

常に宵闇漂う不思議な町、宵闇横丁へようこそ。 不思議な横町の話を語る男。 最期を迎えた猫に毛皮を仕立てるお面の男、死者に鴉の羽で編んだ隠蓑を商う大鴉、狐火を売る古狐の行燈屋、いつ…

薬問屋、一木屋の末息子である弥助の仕事は神様をお祀りすることだった。弥助が神の声を聞いた日から、終わりが始まった。

行方不明になっていた兄が帰ってきた。 龍神に見初められたという兄の項には瓶覗色をした鱗が生えていた。

夫を亡くした悲しみに押しつぶされそうな沙也加は大切な人を突然喪った人たちが悲しみを語り合う「分かち合いの会」をよりどころにしていた。 互いの悲しみを分かち合うために集まった5人…

呪術師の一族に産まれた月子の人生はとんでもなく詰んでいた。一族の崩壊と共に産まれた時から決まっている運命は、17になる日に贄として仇の一族の屍人形になること。 そんな彼女を救った…

借金のカタに男が連れてこられたのは、足のない娘がエビスサマとして幽閉されている社だった。 やがて明らかになる残酷な儀式と村の真相。 男は彼女を救おうと奔走するが……。

夕闇の先に、街角の神社の暗がりに、ふと見つけた小さな池に、あなたの隣にあるかもしれない異界との繋がり二十首です。

交通事故で両親と記憶を亡くした十は、叔父の葦原盈に引き取られる。 盈は家に巣食う怪異を専門とする霊能者で、幽霊を食べるという奇妙な技術を持っていた。 冬のある日、盈と十が訪れた…

春なんて来なければいいのに。 私は春を憎みながら川沿いの道を歩く。

うだつの上がらない肥満気味のサラリーマン、服部孝彦は、ダイエットを始めることを決意する。筋肉はすべてを解決するのだ。運動のために向かった山中で僧侶の幽霊に取り憑かれた孝彦は、僧侶…

住宅地の外れに佇むその家には、幽霊が出る。

町はずれの一軒家で、幽霊の記憶を見せる幽霊提灯を扱う周は、美しい山人だった。 私と周の二つの視点から語られる幽霊たちの物語。 「幽霊と提灯　表」「幽霊と提灯　裏」どちらかだけ読ん…

四辻の中央に建つ古道具屋、四辻堂。 そこでは物憂げな店主とかわいい弟子が古物と因果を商っている。

祖父の家で出会った少年は、いつまでも歳をとらなかった。 かつて祖父が住んでいた田舎の一軒家に帰ってきた高尾が語る、兄ちゃんの思い出と夏の終わりの物語。

　「神」と呼ばれる化生を代々受け継ぐ一族の末裔である茜は十歳になる晩に、神様を託された。 それは凶事をもたらすものか、それとも繁栄をもたらすものなのか。

　池に沈んでいた頭蓋骨を拾った僕は、女の幽霊に取り憑かれた。 幽霊池中さんと、僕、佐々木が過ごすちょっとホラーな日々。

「私」が蒐集した怪談の一部をここに保管しておくことにするーー。 富士山にほど近い長閑な田舎に引っ越した寺田一家。隣家に若い夫婦が引っ越してきた時から、小さな違和感が染みのように広…

先輩が失踪した。 私は、先輩から聞いた奇妙な話を思い出していた。 夏と、水と空の話だ。

親友の胸に花が咲き、彼女は眠り続けている。 彼女を生かすため、私はある決断を迫られることとなった。

私はその日、いつもは見落としていた細い横道を見つけた。 第一回芦花公園百物語に間に合わなかったので私は虫です。

古い屋敷に祖母と住む菫。 この屋敷にはクダという不思議なものも住んでいた。 四季の訪れと共にゆったりと流れてきた時間は父の再婚で狂い始めていく。