お父さんは洗面台の鏡に己の顔を写し、髭剃りあとを確認する。
シェーバーは肌に合わないため、若いころから二枚刃のカミソリを愛用している。
たまに鋭利な刃で皮膚を傷つけてしまい血が流れるのだが、それに気が付かないまま出勤途中の道ですれ違う人をギョッと驚かせてしまうことがある。
今朝もアゴと鼻の下を切ってしまった。
痛みは無いのに血が止まらない。
お父さんはメンソレータムを指先にすくって剃り跡にすりこんだ。
この頃やけに白い髭が多くなったように思う。
髪も頭頂部はきれいに禿げ上がり、側頭部にも白髪が目立つ。
お父さんは銀縁の眼鏡をかけると玄関へ向かった。
お母さんがキッチンから声をかける。
「お父さん、お父さん、お弁当を忘れていますよ」
花柄の布巾で包まれたお弁当箱を手にしながら言った。
「うむ」
お父さんは威厳を込めた声で、ブスッとした表情で受け取る。
「あまり生水を飲まないでくださいね、胃腸が弱いのだから」
「わかっておる」
お父さんは眉間にしわを寄せる。
お弁当は毎日昼休憩に近くの公園で食べるのだが、お茶を持っていくのが面倒なのでいつも公園の水飲み場で喉をうるおしているのだ。
「では行ってくる」
「はい、気を付けてね。今日も残業かしら?」
「仕事の状況次第だ」
お母さんはお父さんが羽織っている真っ赤なマントについた糸くずを払った。
お父さんはお弁当を小脇に抱え、ローンのまだ残っている自宅玄関から出た。
真っ赤なマントの下には、ブルーのピチピチシャツ、真っ赤なブルマ、ブルーのタイツ、そして真っ赤なブーツという仕事着姿である。
昔は盛り上がった大胸筋であったのだが、この頃はむしろお腹のほうが大きく突き出ている。
胸元には黄色地に赤い文字、「父」と刺繍してある。
実際には「父」ではなく、二本の斧を交差させたマークだ。
ミスター・トマホーク。
これがお父さんの仕事上の呼称である。
そう、正義の味方、ミスター・トマホークが今日も悪と戦うために町内へ繰り出す。
がんばれ! ぼくらのヒーロー、ミスター・トマホーク!
~~♡♡~~
めっきり夏日で、ヒエピタをほぼ全身に貼りながら過ごしております。
皆さま、おかわりございませぬでしょうかしら?
などと、どなたさまに向かって問いかけておりますのかしら、わたくし。
今日はわが町内で正義の使者として活躍されております、ミスター・トマホークさまの出勤姿をば書かせていただきました。
新作を公開いたすも、相変わらずお立ちよりくださるかたが少のうございます。
ま、これがつばきでございます。
それはさておきまして。
心躍るレビューやお★さまを頂戴し、ウッキウキのわたくし。
御礼を申し上げたくノートを新しく♡
『影法師がひとつになるとき』
ゆうけん さま、
「純粋で一途な恋愛。人は過去があるから今がある。」
心より御礼申し上げます♬
(陽野ひまわり改め)侘助ヒマリ さま、
「ひたむきで純粋で優しさにあふれた物語に、心がスッキリと洗われます!」
心より御礼申し上げます♬
一矢射的 さま、
「心を清める青春群像劇」
心より御礼申し上げます♬
@tksega622さま、
心より御礼申し上げます♬
『二十歳のおばあちゃんへ』
響 ぴあの さま、
「涙なしで読めません」
心より御礼申し上げます♬
七々銀さま、
心より御礼申し上げます♬
『みかんをのせた、もっちん』
@v4lmetさま、
心より御礼申し上げます♬
『カクヨム・パラレル・ワールド』
@v4lmetさま、
心より御礼申し上げます♬
『猟奇なドール」
@v4lmet さま、
「ジャパニーズホラーも真っ青」
心より御礼申し上げます♬
水沢ながるさま、
心より御礼申し上げます♬
シュンヤさま、
心より御礼申し上げます♬
『猟奇なガール』
@v4lmet さま、
「これも一つの愛の形」
心より御礼申し上げます♬
『THE☆騎士MEN』
@v4lmet さま、
「THE☆名古屋愛活劇」
心より御礼申し上げます♬
『明日へ奏でる草笛の音」
@v4lmetさま、
心より御礼申し上げます♬
『ひねもす漫研、オタクかな (SFではなく、あくまでも私小説であると断言する!)』
@v4lmetさま、
心より御礼申し上げます♬
『翡翠の月』
@v4lmetさま、
心より御礼申し上げます♬
『魔陣幻戯2 『アイドル志望は、時給戦士』編』
@v4lmetさま、
心より御礼申し上げます♬
『トリック・トリップ 無限大』
@v4lmet さま、
「過去作として埋もれてしまうのは勿体ない作品です!」
心より御礼申し上げます♬
『【閲覧注意】! スペクター・キャプター』
@v4lmet さま、
「 控えめに言ってExcellent!!!」
心より御礼申し上げます♬
~~♡♡~~
ばるめさまにはわたくしのような底辺シロートの作品を続けてご覧いただき、感涙でわけのわからぬ舞踏を舞っておりまする。
ようやくキャラクターに頼らぬ物語が書けてまいりました。
え?
つばきから奇天烈キャラをとったら、なにも残らないと?
オホホホ~ッ……はあぁっ、さようでございますわねえ。
次回はまだ未定ではございますけど、また全身ヒエピタで孤軍奮闘いたしたく思います♡
また拙作をお目通しくだすった皆さま、心より御礼申し上げます♬