おじさんは多趣味である。
お金はないが時間はあるから、色々な趣味を持てるのだ。
釣り、囲碁に将棋、水彩画に油絵、ゴルフなど数え上げればきりがない。
だが困ったことがあるのも事実。
実はどれも長続きしないのだ。
これが仕事も同様に長続きしないというのも、困った点であった。
おじさんは大学中退後、かれこれ三十年近くの間に二桁の職業を転々としてきている。
「俺が本当にしたいのは、こんなんじゃない。
天から与えられし、この俺にしか出来ない職があるはずなんだ!」
転職する際の、おじさんの決まり文句だ。
腰に手を当て、空に向かって叫ぶ。
趣味も同様である。
「俺の生きざまを歴史に刻むのは、これじゃないんだ!」
などと、あなたはどちらさまですか? と言われそうな言葉を平然と口にする。
それがおじさんなのであった。
したがってさまざまな趣味のアイテムで、精神状態を疑われるようなゴミ屋敷然になっているのがおじさんの六畳一間だ。
さらに恐ろしいのは、おじさんの趣味の極めつけ、あの『デアゴなんとか』であった。
本と一緒に部品がセットになっている、あれだ。
創刊号は驚くほど安い。
おじさんの昼食代と同じ程度で購入できる。
おじさんはカップラーメンと菓子パンをこよなく愛している。
というよりも、どう計算してもカップラーメンと菓子パンしか買えないのだが。
だから自分へのご褒美として、『デアゴなんとか』を買ってしまう。
それはいい。
何を根拠にご褒美としているのかは、この際おいておく。
アダルトな雑誌を、コンビニの若い婦女子店員へ堂々と表紙を向けて、ニタリとしながら買うよりもはるかに健全だ。
問題は、二号以降をいっさい買わないことであった。
創刊号を購入するも、「う~ん。これはちょっとアレだアレ。俺の趣向に合わなかったようだな」などと万年布団の上で正座しながら雑誌と部品を前に、片眉を上げ首をひねり独りつぶやく。
ゼロ戦やらスーパーカー、手品セットに刺繍セット等々、数え上げたなら気が遠くなるほどの創刊号で埋め尽くされていく。
創刊号だけしか買わないので、船の煙突のみ、恐竜の尻尾のみ、クラシックカーのハンドルのみ、のみ、のみ。
そんな子どもでも遊ばないような一部分だけが溜まっていくのだ。
ちゃんと最後まで買って、きっちり作れよな!
なんて発想はおじさんにはない。
おじさんは多趣味なのだから。
~~♡♡~~
はっと気づけば、またもやおじさんのお話に手を染めているじゃありませぬか!
元々は「ボヘミアンラプソディ」の素晴らしさを、多くの方に知っていただきたい、もしくは共有したいとの想いから物語を描こうとしました。
それが、いったいどういう思考回路の持ち主なのやら、どこを見ましても片鱗さえうかがえぬ物語に……おほほほっ♡
それに中年おじさんが主役のお話など、いったいどなたがご覧くださるというの? PV1か2くらいあれば御の字よと思うておりました。
それが多くの奇特なかたがたにお目通したまわり、応援コメント、お★さまにレビューまで頂戴しておりまする!
もしや今年は中年おじさんが流行するのかしら?
などと勘違いもはなはなだしい、つばきでございます。
aoiaoi さま、
「泥沼に足を取られそうになりながらも、哀しい顔をしないおじさんに拍手!!」
@kuronekoya さま、
「俺を見張るな!!」
白里りこ さま、
「主人公の強烈さが、癖になる〜(笑)」
陽野ひまわり さま、
「己の道をただひたすらに突き進む! おじさんの熱い一日を追え!」
ユーリ・トヨタ さま、
「中年の星はこんなところにいた!!」
銀鏡 怜尚 さま、
「カクヨムナンバーワンおじさん来る!!」
桜井今日子 さま、
「芳しいお名前のかくもかぐわしい物語」
夢見るライオン さま、
「ボヘミアン! 思わず叫んでしまいました。」
輝かしきお★さまに、と~っても素敵なレビューを頂戴いたしまして心より御礼申し上げます!
遥河さま、
春川晴人さま、
木川のん気さま、
千野ナイフさま、
山下ひろかずさま、
関川 二尋さま、
まばゆきお★さまを投じてくださり、心より御礼申し上げます!
また、タイトルにだまされてご覧くだすった皆さま、ありがとうございます!
つばきはとてもとても嬉しい♡
感謝申し上げます♬