ふうっ……
わたくしは両頬に可愛いエクボをつくり、そっとため息をつきました。
今日は珍しく、カクヨムさまを最初から見ております。
ため息の理由その1、ですの。
世の中に、これほど使い手のかたがたが多ございますとは!
わたくしもレビューなどをこっそりさせていただいておりますれど、もう皆さまの紡がれた物語の面白いこと、面白いこと。あっ、爆笑って意味ではございませんのよ。念のために。
それもあなた、「タダ」で拝読できますのよ、「タダ」で!
不眠不休でお仕事や学業すらサボられ、あらゆる手練手管をお使いになって創造された物語たち。
いったいそれに対する対価はどのようにいたせばよいのでしょうか。
本当に「タダ」、「無料」、「ロハ」でよろしいのでしょうか。
いっそのこと拝読させていただいた書き手の皆さまの、銀行口座をハッキングにより入手いたしまして、こっそりお代金を振り込まさせていただこうかしら。
と申しましても、いくらわたくしだって何十万円もお支払いはできませぬ。
ですから文庫本一冊程度のお値段で。五百円から千円くらいかしら。
そうとは知らずに銀行で記帳され、「¥540-入金 高尾つばき」なんて通帳にプリントされましたらお喜びくださるかしら。
でも不気味がられてしまうやも、かえって。
ですからわたくしは読了させていただいた作品には、お★さまを必ず三つ(本当は可能ならば千個や二千個つけさせていただきたいのです。でも何度クリックしても無理)ばかり、失礼ながらつけさせていただいておりますのよ。
ひとつや二つは、まず付けません。なぜなら、今ひとつ(あっ、これはあくまでもつばきの主観によるものです)な物語は途中で止めるか、読まなかったものとして記憶からポイしちゃうからなのです。
その2、といたしまして、小説のタイトルなんですの。
映画「シンゴジラ」が好評判だからなのでしょう。タイトルに「シン・~~」が結構多ございますのね。しかも読まれております。
やはり流行に乗る、って大切ですわよ、絶対に。
わたくしも乗っかっちゃおうかしら。
「シン・猟奇」……これだと、なにやら、はやり病のようで見たら感染しそうだわ。ある意味コワイは、かなり。却下。
「シン・ガール」……芯がある? かたそうなご飯だわ。却下。
「シン・ドール」……死んどる? いささか不謹慎だわ。却下。
あっ、わたくしには必殺の切り札がございました!
「シン・キムチ」……食欲は誘いそうですけど、どこかの食品会社が商標登録されてそうね。却下。
いっそのこと、これはどうかしら。
「シン・ツバキ」……新しい列車の名称か、演歌の世界だわ。却下。
そんなこんなで、わたくしはため息をついておりますのよ。
次にアイスティをストローでいただきながら。自作警備を行います。
んんっ? このストロー、やけにロングですわね。しかも吸い込んだお口の中は本来香しきお紅茶のはずが、なにやら生臭いような……
あら、やだ。これってストローじゃなくて、夕餉でいただいたシシャモを挿していたビニール管よ。おほほっ、わたくしったら。
あら? あらら?
なんとしとことでしょう! またしても「カクヨム界のバミューダ・トライアングル」に拙作が巻き込まれているではありませんの!
16万文字強ございます「魔陣幻戯~アイドル志望は時給戦士」から、せっかく頂戴したお★さまが、またしても謎の消失……
よよと泣き崩れるわたくしの切れ長二重の目に、その時思いもよらぬ光が差し込みました。
RAYちゃんが希望のお★さまを、天女のごとく舞い下りて投げてくださっているではございませんの!
あな嬉しや!
RAYちゃんのお★さまがなければ、「注目小説ピックアップ ネクストブレイクはここから! ★15〜50の中・長編をランダムに表示しています」とございます土俵から引きずり降ろされるところでございました。
ホッとわたくしは小さな胸(しつこいようですが、バスト、ではございませぬ)をなでおろしているところでございますの。
主治医からSNSなるものを止められておりますゆえ、たとえ一瞬でも拙作のタイトルが流れれば、奇特などなたかがご覧くださるやもしれぬ、と他力本願のつばきでございます。