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2022年 赤裸々な執筆周りの雑感とご挨拶(長いよ)

ハロゥ、ハロー。つるです。
無事に仕事が納まりました。あーもうダメだと思った……安堵。
さてね、本当は明日、大晦日に書こうと思ったのですが、いろいろ慌ただしい予感もするので、今日まとめることにしました。ご挨拶と雑感にしては、ものすごく長文なんですけど、読んでいただけるとうれしいです。

それでは今年の執筆あれこれ、3点に分けて書き記します……!

1 第二回角川武蔵野文学賞大賞受賞&作品を製本して文学フリマで頒布

これを同列に語るのはどうかなと思うんですけど、どちらかを上にするには双方大き過ぎる出来事ないしターニングポイントだったので、同じ項目とします。

武蔵野文学賞ラノベ部門大賞を受賞した『宮廷画家と征服王』はわたしにとってとても大事な作品です。書いた時もそうでしたが、受賞でより思い出深くなりました。受賞の連絡から発表までがめちゃくちゃ長く、その間何度も「ホントなの?」となって情緒が乱れまくったのも良い思い出です……。今となればね。雑誌に掲載されたのも、副賞のパスポートで角川武蔵野ミュージアムに行けて編集の方とお話しできたのも嬉しかったです。そして、この受賞の経験が「ひとつ成し遂げた」という、それまで焦ったり揺れまくりの創作の気持ちに、一区切りの達成感を与えてもらって、なんだか前が開けたような気分になれたのもまた大きかったのです。そして、それが二つ目の、作品を製本して頒布するという行為に繋がったのは間違いないです。
そもそも作品をかたちにしたいという思いはとてもあったのですが、それがいわゆる「商業書籍化」でなくともいいのかも、と思えたのは、春、『虚空の書架』を読んだ方からSFアンソロジーに呼んで頂いてからです。呼んでいただいたことも光栄だったのですが、さらにそのアンソロジーをコミティアに行ったお知り合いが目掛けて買いに行ってくださったのにびっくりしました。だってまさか、自分の作品をお金を出して読みたいと思ってくださる方がいるとは思わなかったから。このことで「もしかして、わたしのものがたり、人に届いているんじゃない? 届ける価値、あるんじゃない?」と思えるようになり、その後訪れた春の文学フリマの熱気に当てられて、秋にはサークル参加するに至りました。そしたら、ビギナーズラックといえども、思った以上の方が「これが読みたい」って訪ねて来てくださって。泣きました、ホント。
そのとき、あらためて思ったんです。
「あ、届いてる。わたしの生きた熱、ちゃんと届いてる。これでいいんだよ」って。

2 商業エンタメという世界にチョロっと触れる

さて、春から秋の文学フリマの間の時期、つまりは夏にも、ひとつおおきな出来事がありました。前にちょい関わったことのあるプロダクションさんからタテスクコミックの原作のコンペに誘われたんですね。あまり具体的には語れないのですが、あちらからのオーダーは「異世界恋愛、溺愛もの」。正直「難しいなぁ」と思いましたが、お手本にせいと出された作品がけっこう好きなテイストだったのでお受けしました。で、1ヶ月くらいずーっとその案件にかかりっきりでした。
結果から言えば、プロダクションのコンペには通ったものの、配信会社のコンペに二度企画書書き直してチャレンジしましたが通らず、金銭的には一銭もならず(正直このシステムはどうかと思うのですが、これは主題でないので割愛)、そして精神的にはかなり疲労困憊しました。なんせ、いつもの自分のスタンスを変えに変えて、キャラクター練って、企画書何度も書き直して挑んだ結果が「これは大ヒットしないと思う」「特別なところのない作品」という評でしたから。
いや……そうか、と思いましたね。
商業ではまず「大」ヒットする、という見通しがありきで、そしてそれに当たらないと見なされれば「特別なものはない」となるんだなぁ……と。分かってたつもりでも、衝撃でした。
編集さんは良い方でしたし、たくさん褒めていただき、またたくさん慰めてもいただきましたし、オンラインの打ち合わせで「このキャラどう殺しますかねー」とか物騒なやりとりしたのはいい思い出となりましたが、商業の厳しさ、そして、表現する身としての受け入れ難さに打ちのめされた夏でした。

3 わたしにとって執筆とはどこまでも内省的なもの、という気づき

そんな夏を超えて迎えた秋の文学フリマ参加だったものですから、感慨は大きく、そして、年末は自分の執筆スタンスについて深く考えずにはいられませんでした。
結論としては、わたしにとって執筆という行為は、まずはどうあれ、「自分のため」のものでしかない、という事実です。もちろんその先に「読んでくださる方を喜ばせたい」という気持ちはあるのですが、それはあくまでも「自分が語りたいものがたりを届けた末」での出来事であって、そして、その「ものがたり」すらも「面白いもの」を書きたいわけではなく、何よりもまず「自分の内心にあるテーマが存分に表現された」ものでありたい、と自分は考えているのだと。その上で読者の方に刺さるものであれば、なおよし、みたいな。つまりはわたしにとっては、どう言われても、執筆とはどこまでも内省的な行為でしかない、そう気づいてしまいました。

独りよがりにはなりたくない、とは思うんです。webという場で表現している以上、多くの読者の方と繋がって自分のものがたりを味わってはいただきたいんです。でも、わたしは結局、まずは自分のためにしか、ものがたりを紡ぐ意味を見出せないのです。

これに準じたことは、いわゆる「読み」にもいえて、わたしは読むことも自分のためにしかできないと気づいてしまいました。もともと患ってる病気のおかげで、脳みそのキャパが少なく、読みに回れない、読み続けられないという悩みを抱えていました。その良し悪しは兎も角、読み返しもできないから、読者もつきにくいのが、web小説界の現実であると思います。(それ以上に読者を選ぶ作風なのも、分かってはいますが)だから、ずっと苦しかった。感想を送りあったり、ファンアートで交流したりできない自分が辛く、疎外感すら感じていました。いや、今も苦しいです。
でも、脳のキャパの問題だけでなく、結局自分は読むという行為も内省的で、自分のためにしか読めないし、義理で読んだり感想をいうことは、とても難しい。だから、これからもこのスタンスは苦しいだろうけど、変えられないです。書きたいものを書き、読みたいものを読む。それしかできないのがわたしという人間です。

以上3点が今年の自分の執筆に関するあけすけな総括です。うわー長いな。読んでくださいました方ありがとうございます。
正直心地いい体験ばかりではなかったのですが、でも、この視点を持てたことは大きくて。結果的に、落ち着いた気持ちで2023年に向かって歩いていけると思っています。

来年は……とりあえず『寄る辺なきエトランゼ』をなんとか完結させるのがいちばんの目標ですが、それが済んだらどうするかは、まったくのノープランです。今年も書いた文字数少なかったですが、来年はさらに寡作になるかもしれないです。

一作は新作の長編書き上げたい、あの公募に出したい、文学フリマももっとたくさん出たい……etc、考えてることはあるのですが、まだまだ漠然としています。
だけど、ものを書くことへの情熱は失せてないです。ゆっくりでも、自分のために、読み、書き、届け、歩いていけたらいいなぁ、と思ってます。そして、その過程で交差した方々とは、できましたら、仲良くしてもらえたら幸せです。

2022年ありがとうございました。
2023年もどうぞ、よしなに。

自分の情熱に正直に生きましょう。
ひいてはそれが
他の誰かを幸せにすることを信じて。

(画像は今年製本した作品たちです。『寄る辺なき〜』は来年1月の文学フリマ京都で出す新刊ですが……)

4件のコメント

  • 色んな事があった一年だったのですね。
    僕には、つるよしの様の作品と出会えたとても良い年でした。

    僕もキャパが小さいのと読み方の傾向からあまり読みに回れないほうですが、いい出会いがたくさんあって嬉しかったです。
    来年もどうぞご無理なく、よき年でありますように。
  • 珠邑ミトさま

    コメントありがとうございます……!!
    ほんとうに、色々なことがあって、色々なことを考えた1年でした。
    でも、考え抜けたことは、よかったので、わたしにも良い年でした。

    珠邑さまのように熱心に拙作を読んで下さる方との出逢いは、わたしにとっても得がたいものです。読みについてのキャパの無さにはこれからも悩むと思うんですけど、わたしもそのなかで良い出逢いを積み重ねて行けたら。
    来年もどうぞよろしくお願いいたします。
  • いつも真剣に創作について悩み、励まれている姿に私も刺激を受けています。
    創作は自分を見つめることで、ときに辛くなることもありますね。

    素晴らしい作品に結果がきちんとついてきてご活躍をされており、本当に努力をされていると感じます。

    この先も楽しく創作を続けられるよう応援しています!
  • 神崎あきらさま

    コメントありがとうございます……!
    こちらこそいつも刺激を頂いています。
    一度書き上げるとほぼほぼ満足してしまうわたしからすれば、神崎様の姿勢は見習いたいところばかりです。いえいえ、端から見れば悩み精進しているように見えるかもですが、ぜんぜん努力が足りないですよ、わたしは。実際のところ。

    お互い楽しく執筆を続けていきましょう。
    来年もよろしくお願いいたします。
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