カクヨム公式自主企画「百合小説」で、拙作『銀河逃避行百合』が、みかみてれん賞をいただきましたっっっ! いゃっっっっっっっったっっっっっっっっー!
通知が来たとき、感激のあまり、逆立ちしながら鼻でピーナツ食べました。それぐらい気が動転しちゃいました。
『銀河逃避行百合! ―遥か彼方の家出旅―』
「2080年でも、少女たちの恋はここに瞬いている。」(kakuyomu_officialさんのレビュー)/
https://kakuyomu.jp/works/16817330660440737660/reviews/16817330668949781571 さすが、みかみ先生のご慧眼。
おっしゃる通り、中編相当の話を削りに削りまくってこうなりました……。
近況ノートのこちらから作品制作に関する部分を抜粋してみます。
https://kakuyomu.jp/users/toujakumasiro/news/16817330660471552307-------------------------------
ふたりで銀河を駆け巡る、というのは昔から好きで、いろいろなプロットを書いては投げていました。大好きなSF作家、CJチェリイの名作『リムランナーズ』があったり、最近だと速水螺旋人先生の『男爵にふさわしい銀河旅行』とかすごく好みです。
そうこうしていたら、Doroni先生の『かき氷で星間旅行』(
https://www.pixiv.net/artworks/102571400#1 )が発表され、蒼桐さんから「これ、冬寂さん、大好きですよね?」と言われてしまい、「ええ、もう。ぐふ、ぐふふ」と返事したときから、たくさんSFな乗り物が出てくるのがいいな、と思って、そこから原型ができました。
遠くに行くので、距離の話にしたのもこのあたりです。物理的な距離と心の距離の対比を書いたら面白いかなって……。茨城県鹿嶋市がスタートなのも、いろいろ私が複雑に思う土地で、もう二度と足を踏み入れないけれど、それでも楽しい思い出はたくさんあるところで、その距離感を反映させてみました。それに宇宙センターも実在するし、いいかなと……。高校は鹿島神宮近くにある清真学園がモデルです。文字数の関係で、あんまり深く書けませんでしたが……。
鹿嶋は鉄の町でもあって、全国から転勤が多くて、友達が出来てもどこかに行ってしまうことがよくあるところです。ふいに人生から消えたり現れたり。そんな人間関係の距離感も含めてみました。
もともと中編ぐらいで、SFうんちく話もてんこもりだったのですが、文字数の関係もあり、話の意図を削がない程度には削りました。少しだけ残滓はあります。
いまから60年後の設定は近すぎな気もするのですが、あと3年程度でドラスティックに世界は変わると私は思っています。この世界線では、日本を中心にウェットウェアの技術が進み、様々な分野に応用され、生体建材(エコだし熱帯気候になると育てやすい)が流行っているとしました。
一方で月の利権(月で得られるヘリウム3や低重力下での合金、製薬など)を巡り米中で争ったところ、月のほうが勝手に独立してしまった世界になっています。月政府は資源射出用マスドライバーを改造し、たくさんの岩を地球に振らせました。そのせいで影響を受けない地下に鉄道を作ったり、中立の立場だった日本とは技術支援を結んだり(安全保障はアメリカではなく月政府がやってる)、そんな世界になっています。
軌道エレベータは生体建材をふんだんに使い、ケーブルも生体由来です。仕組みはだいたい大林組さんが掲載している記事を参考にさせていただいています。(
https://www.obayashi.co.jp/kikan_obayashi/detail/kikan_53_idea.html )。
出てくる小型艇も生体由来です。もそもそしているレーションは実は船が作っています。太陽系外に行く宇宙船もそうです。宇宙空間にクラゲ、ウニ、クジラとなっているのも、地球の生体由来な物から作られているせいです。
そして光速を超える方法も、生体由来にしてみました。人は累計で1080億人生まれているそうです。その1000億倍ぐらい脳があれば、宇宙も歪むのではないのかなと……。シュレーディンガーの猫の解決って、「観察者が猫は生きてると決めつければ、状態が確定する。蓋を開けて死んでいても、みんなが信じれば生きてることになる」とか思ってる私です。ひどい。
とまあ、うんちくをどこかで書いておきたく……。アレなSFファンですみません、ごめんなさい。
BGMは「Perfume」の『STAR TRAIN』です……。せつないいい曲なのです。ぴったりだな……と思いながら書いていました。
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削ってしまったシーンとしては、「転勤でやってくる新しい友達、去っていく友達。そんな環境で奏向と遥香のふたりだけが取り残されている」、「鹿嶋の見慣れた高炉の煙突を見ながら自分の空の上に上がるんだという奏向の決意と『見納めになるからよく見とけよ』という遥香のやさしい声掛け」、「軌道エレベータが少しずつ上がっていき、青い空が宇宙の黒に変わっていくのをふたりでじっと見つめているシーン」、「軌道エレベータの探検(だいたいフェリーみたいなもの。お風呂もあるし、冷食の自販機がある!)」、「軌道エレベータの三等船室で毛布一枚で月へ逃れる貧しい人々を見ながら『月には何もないのに』と冷たく言う遥香に『希望を目指して遠い地に行くのは、そんなに悪いことなの?』と反論する奏向。喧嘩するシーン」、「微妙な雰囲気の中でスペースポートにつくと奏向が宇宙酔いしてしまい、遥香が黙ってやさしく看病する」、「スペースポートで遥香のピンチに、味方のロックなおっちゃん達が助太刀に来る。愛用していた遥香のギターを渡す」、「音楽による革命運動を遥香たちはしていて、遥香はギター兼ボーカルになり、月政府へ抵抗していた。月政府に父母を人質に取られて仕方なく降伏し地球に亡命していた」、「最後はふたりの子供が出てくる。同性同士の子供。シリウスは地球から離れているせいでテクノロジーにも距離が出始めた」……とかとか、SFネタもさることながら、たくさんエピソードを削ってます。
なので、全部入れたら本当に4万字は越えてきますね……。
この作品は、自分ではなかなかいいなと思っていても、コンテストには内容的にかすりもしないと思ってました。だって百合SFですもの。しかも結構ガチ目。いろいろ削ったので百合である必要性が薄くなってしまった気もしますし。なので、とってもびっくりしています。
やっと百合分野のコンテストで入賞をいただきました。自称「百合とか系物書き」の面目躍如です。カクヨム編集部様、選出いただいたみかみ先生、読んでいただいた方々に、本当に心から感謝します。ありがとうございます。
そして。
この物語は蒼桐さんの一言から作られました。五体投地で大感謝です。あなたがいなければ産まれなかった物語でした。これからも仲良くしてください!
これから他の方の受賞作品を読んでいきます。楽しみで仕方ないです。
それでは良い百合読書ライフを!
※画像はAI生成してみました。だいたいこんな雰囲気です。誰か漫画化して……。