• 現代ドラマ
  • 現代ファンタジー

ギジレンという劇団が好きな話

語りたいけど他のsnsじゃウザいだろうから、狭い範囲のここにギジレンの好きなところを書きますね。

リアリティと荒唐無稽、物語に取り込むのに難しいのは圧倒的に後者でリアリティの精度をあげればあげるほど物語の完成度もあがるが、荒唐無稽になればなるほど物語は破綻していくからだ。
去年からファンになったギジレンという劇団は荒唐無稽と物語の共存を目指しているように思う。
それを強く感じたのは去年末に公演されたギジレン歌劇団だ。
寒村が村おこしの為に劇団を立ち上げるという冒頭から彼らの考える演劇がショートショートで次々と続いていく。その内、当初の村おこしのストーリーは乱れ打たれる物語に飲み込まれてしまうのだ。このままでは物語が破綻して独りよがりのくそ演劇に落ちぶれていたであろう。しかし、ここがミソなのだが、枯れ果てた村おこしの大黒柱の横にズドンと新たな柱を建てたのだ。それは、物語の合間に挿入される演劇で盛り上がる村を冷めた目で見ている陰キャ男子高校生の物語だ。2人の陰キャ男子は馬鹿らしいよなと反骨心むき出しでいたが、1人が恋をして体制側に行ってしまう。離れ離れになってしまった2人の友情やいかにという荒唐無稽の嵐の中で唯一現実感を持って語られるそれは、充分と柱の役割を得ていた。
そして、ギジレン歌劇団最大の仕掛けは柱の物語のラストシーンである。
陽キャとカラオケで盛り上がる陰キャA、そこに乱入する陰キャBはマイクを奪う。
さてここからどうなるのか、観客が固唾を飲んで見つめる中、陰キャBはなんと……

流暢なラップを歌い始めるのだ。

なんてこった、巧妙に荒唐無稽を制御していた立派な柱をギジレンという劇団はバッサリと切り倒したのだ。
柱を失い、枷から解き放たれた荒唐無稽はラップにのせて暴れ始める。
出演者全員が壇上で踊り狂い、帝国華撃団に乗せて女子が男子の尻をスリッパで叩く、今更感の確信犯だ。
そして最後はなんか宇宙人が攻めてきて勝つ

僕はギジレン歌劇団ですっかりこの劇団のファンになってしまった。
この劇団は荒唐無稽を物語として成立させる事をテーマに活動してるんだなと勝手に思ってる。
歌劇団の次に公演した楽園も良かった。歌劇団の反動か知らないけどシリアスなストーリーでこんくらいのをシナリオ書けないと歌劇団できないよなあとも思った。

そして、今週末まで公演中のセンチメンタルジャーニーズは程よく混沌としててとても素敵なのだ。もし機会があれば是非劇場に足を運んでほしい。

http://guizillen.under.jp

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する