https://kakuyomu.jp/works/16817330656927273343/episodes/16818093074239160376 記憶のコピーについて。
海馬を接続し電気信号でニューロンを誘導する事により記憶のコピーに成功した。
被験者の一人に私の記憶をコピーしたところ、私しか知り得ない幼少期の記憶や技術的な専門知識を有している事が認められた他、当該実験についても理解を示しており非常に強力的な対応を取った。
当初、被験者には時折手の震えや身心喪失といった症状が現れていたが時間経過により薄れ、次第に安定化。接触しても問題ないと判断したため、被験者に質問をした。内容は下記にまとめる。
「元の人格や記憶はどうなっているか」
「(人格や記憶が)なくなったわけではないが、本で読んだような感覚。共感や同情を覚えるも他人事であり、現実的の感情と乖離している」
「趣味や趣向の変化は見られるか」
「私(シュバルツ)と同様である。しかし、しばらくは被験者が好む物を欲していた」
「コピー直後、意識はどうだったか」
「数分間混濁していたが、すぐに整理できた」
「体調不良や精神への異常はないか」
「被験者が抱えていた不調以外に問題はない。しかし、自分が知っている体ではないため違和感や喪失感はある」
「生存欲求はあるか」
「ある。私は誰よりも長く生きなければならない」
以上。
被験者にはバイタルチェックの他、脳波マッピングと血液検査も実施。いずれも異常なく現在でも生活を続けている。
当実験は現状において専用のジャックを用いて実施。今後、脳波を指向し、物理的な相続が不要な方法を研究していく。なお、ジャックによる直接接続方式であれば旧時代の科学技術でも再現可能である。別の世界のシュバルツにも使えるだろう。
……なんだと?
別の世界のシュバルツ。
ファイル内には確かにそう書かれていた。