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読めない心8

https://kakuyomu.jp/works/16817330656927273343/episodes/16818093074070909323

シュバルツの存在は危険である。手の届かない場所へ行って俺の秘密を暴露されたら全てが終わる。その場合、当然シュバルツ自身もリスクを背負うわけだし、そもそもメリットもないのだからまずリークなどされないと頭では分かっていたが、俺はヤーネルを裏切り、また、財政界で暗躍しているから、過剰にシュバルツの動向に気を揉んでしまっていた。そして、それにも増してシュバルツがいなくなった事に、酷く悲嘆している自分に気がつく。どこへ行ってしまったのか、また会えるだろうかと、まるで親とはぐれた子供のように彼を求めていたのだ。秘密の共有者がいなくなった事による心理的負担が思いの外大きかったとこの時は納得させていたが、それだけでは説明できない感情の隆起であった。しかし……





 しかし、しかしやらなければならない。

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