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ミルクもシュガーもいれないで 121

https://kakuyomu.jp/works/16816700428814774744/episodes/16817139554666240112


しかし今更体裁を気にするというのも間抜けたものである。今日まで極力他者と交わらず過ごしてきた俺が何を苦慮する必要があるのかとも思う。俺はずっと社会不適合者であり、寄せられる人目には蔑みの色が濃く滲んでいるだろう。
 それはまさしくその通りで、この時俺が抱いた憂慮は、雨に濡れながら傘の心配をするのと同じく無意味であったが、それでも自ら進んで恥を重ねるなどまともな人間の所業ではなく、俺を含め、多数の大人にとっては避けるべき事柄であるいう認識を共有していると信じてやまない。これは俺の小人根性から生じる希望、願望であるかもしれないけれども、それにしたって、歳の離れた人間を横に置いき「僕のいい人なんだ」などとのたまおうものなら失笑を買う事うけあいだろうから、一時の血迷いでそのつもりになってはならないのである。これが、彼女に対して恋仲となるに支障となる点の一つ目である。

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